玉置半右衛門

玉置半右衛門

玉置半右衛門（たまおき はんえもん）は、1838年11月17日に八丈島で生まれ、1910年11月1日に亡くなった明治時代の実業家である。彼は南方諸島の開発に情熱を注ぎ、特に鳥島でのアホウドリの乱獲事業によって巨万の富を築いた一方で、労働者の権利には目を向けない姿勢が問題視された。彼の人生は、起業家精神と倫理の相反を象徴している。

前半生

玉置は、伊豆八丈島の代官の息子として育った。1856年に江戸に出て、大工としての技術を学びながら働き始めた。19歳のとき、一度は江戸での商売にトライするも失敗し、その後、横浜での大工仕事に携わることに。ここで羽毛布団と出会う。その後、1862年には江戸幕府から小笠原諸島の開拓民募集に応じ、父島に渡ったが、開拓は中止になり再び八丈島に戻った。1876年には明治政府の開拓計画に応募するが、開拓局と対立し、二年後に島を離れることになる。

腸八丈島の名産の一つである黄八丈の販売を通じ、彼は八丈島と東京を結ぶ回漕業で成功を収めた。にも関わらず、無人島の開発への希望を持ち続けたのだった。

鳥島でのアホウドリ撲殺事業

1887年、玉置は鳥島に上陸し、アホウドリの乱獲を始めた。この事業は彼の財を成す契機となり、わずか数年で600万羽に及ぶアホウドリが捕獲された。玉置は借地権を得る際、「漂流民を救うため」との名目を掲げたが、真の目的はアホウドリの利用だった。彼は羽毛や肉など、アホウドリの資源を余すことなく活用した。

実際、彼の事業は巨額の利益をもたらし、1896年には帝国ホテル近くに「アホウドリ御殿」という豪邸を建てるほどに至った。しかし、その影には多くの労働者の犠牲があった。労働者に賃金を支払わず、危険な環境で働かせるなど、労働者の権利を軽視する姿勢が批判を呼んだ。政府への虚偽の報告や、道路や港の建設を名目にした公共事業も、実態はなく、住民の不満を招いた。

1902年、鳥島でのアホウドリの捕獲を巡る事業は、大噴火により多くの人命が失われ、玉置も既に東京都に移っていたものの、その事業は続けられた。新たな開拓民を送り込み、アホウドリの乱獲が再開された。これによりアホウドリは急速に減少し、最終的には絶滅危機に瀕することになる。

南大東島の開拓

1900年には南大東島への入植も行い、サトウキビの栽培を始め、精糖事業を確立した。入植者には30年後に土地が与えられる約束をし、病院や学校の整備を行ったが、実際にはその約束が果たされないこととなる。特に、玉置の息子たちは放蕩に走り、内紛の種をまいた。

その後の人生と死

玉置は過労から肝臓病を患い、1910年に73歳で亡くなった。彼の死後、彼の事業は相続者間で争いが起こり、最終的に南大東島の土地と事業は東洋製糖に売却された。彼の人生は成功と倫理の問題を同時に示している。彼の事業は短期的な利益を上げたものの、長期的には地域社会や自然環境に対して大きな影響を及ぼす結果となった。

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