王子と踊子

『王子と踊子』

『王子と踊子』（おうじとおどりこ、英題：The Prince and the Showgirl）は、1957年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画です。物語は、あるヨーロッパの国で繰り広げられる、貴族とアメリカ人女優との恋模様を中心に展開します。この映画の日本のDVDタイトルとしては『王子と踊り子』も存在します。

原作と制作

本作は、テレンス・ラティガンの舞台劇『眠りの森の王子』が原作となっています。この舞台は、ロンドンでローレンス・オリヴィエとヴィヴィアン・リーによって初演されました。映画化にあたって、マリリン・モンローがこの作品の映画化権を購入し、脚本はラティガン本人が手掛けました。なお、邦題では「Prince」が「王子」と訳されていますが、その文脈では「大公」と解釈するのが正確です。

ストーリーの概要

1911年6月、カルパチア王国の若き国王ニコラス8世（演：ジェレミー・スペンサー）は、父である摂政チャールズ大公（演：ローレンス・オリヴィエ）と共にロンドンを訪れます。彼らはジョージ5世の戴冠式に出席するための外交的役割を果たすためにやってきました。ある夜、英国外務省による接待で、チャールズ大公はミュージカルの端役として出演するアメリカ人女優エルシー（演：マリリン・モンロー）と出会い、彼女の魅力に心を奪われます。

エルシーは、カルパチア大使館に招かれますが、大公の意図を見抜き、逃げようと試みます。そんな彼女を高齢の皇太后が気に入り、強制的に戴冠式に参加する羽目になってしまいます。一方で、ニコラス8世は政治の実権を父から奪う計画を企てており、大公はその動きを見抜いて彼を監視しています。

無邪気で愛らしいエルシーは、父子の対話によって二人の関係を仲直りさせようとすることで、どちらの心にも変化をもたらしていきます。エルシーの存在が、大公と国王との関係を嵩上げし、ついには大公とエルシーの間にも恋心が芽生えます。二人は熱い一夜を共にし、翌朝、大公は国王への親子の愛情を表現します。

結末とキャラクター

帰国の際、大公はエルシーを伴って帰ることを考えますが、エルシーは自分の立場を理解し、その提案を丁重に辞退します。こうして、彼らは穏やかな別れの中で互いを思いやる気持ちを胸に抱いて、各々の道を歩むことになりました。エルシーは、二人から贈られた記念の品を抱え、大使館を後にします。

主要キャスト

• - チャールズ大公: ローレンス・オリヴィエ - カルパチア王国の摂政であり、現国王の実父。
• - エルシー・マリーナ: マリリン・モンロー - アメリカ人女優。
• - 皇太后: シビル・ソーンダイク - カルパチアの前国王の妃で、ニコラス8世の祖母であり、大公の義母。
• - ノースブルック: リチャード・ワッティス - 英国外務省の職員。
• - ニコラス8世: ジェレミー・スペンサー - カルパチアの国王。

日本語吹替

本映画は、フジテレビ版として1973年に『ゴールデン洋画劇場』で放送され、その後1981年にはテレビ朝日版が『日曜洋画劇場』で放送されました。

『王子と踊子』は、恋愛と人間模様を描いた魅力的な作品であり、マリリン・モンローの存在感とローレンス・オリヴィエの演技が印象的です。

もう一度検索