ローレンス・オリヴィエ

ローレンス・オリヴィエ: 20世紀の名優

ローレンス・オリヴィエ（Laurence Kerr Olivier, Baron Olivier of Brighton OM, 1907年5月22日 - 1989年7月11日）は、英国の俳優および映画監督であり、20世紀の演劇界で特に名声を博した人物の一人です。彼はアカデミー賞を受賞し、特にシェイクスピアの演劇においてその才覚を遺憾なく発揮しました。一般には「ラリー」（Larry）という愛称で知られています。本名はローレンス・カー・オリヴィエです。

生い立ちと教育

オリヴィエはサリーのドーキングで生まれました。父親はイングランド国教会の牧師で、オリヴィエは自伝において「上品だが貧しい環境で育った」と振り返っています。彼の母の希望で９歳でオール・セインツ教会の聖歌隊に参加し、音楽と演技の基礎を学びました。しかし、12歳の時に母を亡くし、その死は彼に深い影を与えました。1921年にはオックスフォードのセント・エドワーズ・スクールに進み、1922年には初めてのシェイクスピア作品『じゃじゃ馬ならし』でケイトを演じ、その後も『夏の夜の夢』のパックで成功を収めました。この成功をきっかけに、俳優の道を志す決意が固まりました。

彼は1924年、17歳でロンドンのセントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマに入学し、本格的に演技を学び始めます。

初期のキャリア

1925年にはプロとしてデビューし、同年にブライトンのヒポドローム劇場での舞台『幽霊列車』で初めての舞台を踏みました。その後、バーミンガムのバーミンガム・レパートリー・シアターでの『農夫の妻』に参加し、徐々に実績を積み上げます。オリヴィエは多種多様な作品に出演し、特に『ハムレット』や『マクベス』などの古典劇で素晴らしい演技を見せ、多くのファンを獲得しました。

1928年にはフリーとなり、1929年には『三階の殺人』のニューヨーク公演にも参加し、国際的なキャリアを広げました。彼の映画デビューは1930年で、以降はハリウッドでの活動も経験します。

映画と舞台での成功

オリヴィエは1933年に帰国し、ロンドンで活躍を続けることになります。特に1937年には映画『無敵艦隊』で共演した女優ヴィヴィアン・リーと恋に落ち、その後の彼の人生に大きな影響を与えました。また、シェイクスピア劇の上演を通じてスターとしての地位を確立し、1938年には映画『嵐が丘』の撮影の際にリーを製作者に紹介しました。1940年にはリーと再婚しますが、彼女の精神的な問題が私生活に影を落とすこととなります。

軍隊と監督業

第二次世界大戦中、オリヴィエは海軍に志願し、航空隊のパイロットとして服務しました。1943年には『ヘンリィ五世』を監督し、この作品はシェイクスピアの名作を見事に映画化したと絶賛されます。彼の監督業は音楽や演出においても高く評価され、戦後も成功を収めました。

引退と晩年

1947年にはナイトに叙され、その年に監督・主演した映画『ハムレット』がアカデミー賞を受賞。名実共にイギリスを代表する俳優となりました。1957年にはジョーン・プロウライトと結婚し、数々の舞台で共演しますが、オリヴィエの私生活は常に波乱に満ちていました。1989年に腎不全で亡くなるまで、彼は演劇界に多大な影響を与え続けました。

オリヴィエの業績は、映画、舞台共に数え切れないほどであり、彼の境遇に対する彼の真摯な姿勢と才能は、後世の俳優たちにとっての道しるべとなっているのです。

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