王家の呪い

王家の呪い

「王家の呪い」、またの名を「ファラオの呪い」とは、エジプトの古代王家の墓を掘り起こす者に対してかけられるとされる呪いの伝説です。特にツタンカーメンの呪いとして知られ、多くの人々の興味を引いてきました。この言い伝えは、実際には実証に乏しく、都市伝説の一種とされています。

背景

1920年代、エジプトの王家の谷でツタンカーメンの墓が発見されました。この発掘作業に深く関与したのはカーナヴォン卿とその研究チームです。彼らはミイラを取り出す作業を進めていましたが、発掘の直後に数名が次々と急死したことで、「王家の呪い」という言葉が広まりました。実際、急死したのはカーナヴォン卿だけであり、彼の死因は発掘前に受けた蚊の刺されによる感染症とされています。

このような出来事から、人々は何か不思議な力が働いているのではないかと信じるようになりました。特に当時は、王家の墳墓を開ける行為が禁忌視されていたため、呪いの存在が信じられるのも無理はないところです。

墓の空気と神秘的な噂

更に、墳墓の中には何らかの有毒なガスが充満していると噂されるようになりました。この考えは、著名な作家アーサー・コナン・ドイルも支持しており、墓荒らしを懲らしめるために致死性のカビなどが意図的に配置されていたのではないかという見解を示しました。しかし、現代の調査によると、古代エジプトの墳墓内に有毒物質やカビは確認されていません。

メディアの影響

王家の呪いの伝説を広めたもう一つの要因は、メディアの影響です。ツタンカーメンの墓の発掘が行われた際、ハワード・カーターと独占契約を結んでいた「タイムズ」紙に対抗する形で他の新聞社が「王家の呪い」と報じました。発掘関係者の急死が続く中、これらの報道が呪いに関する信憑性を高めていきました。

近年の関連事象

近年では、2021年に発生したスエズ運河の封鎖事故も、王家の呪いと結びつけられたことがあります。この時、エジプトの大エジプト博物館へのミイラの移送を伴うイベントが行われたため、伝説と何らかの関連があるとする意見も出ました。しかし、このような憶測は移送イベントが無事に終了することで収束しました。

まとめ

「王家の呪い」とは、単なる伝説や都市伝説に過ぎないとする意見が多い一方で、古代エジプトに対する人々の興味や神秘主義的な素養を反映しています。墓を掘り起こす行為自体が禁忌として捉えられていたため、呪いの話が人々の心に深く刻まれる結果となったのでしょう。今日でも、「王家の呪い」は多くの文化、メディア、文学に影響を及ぼし続けており、その存在は不気味な魅力を持ち続けています。

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