王有齢

王有齢（おう ゆうれい、Wang Youling、1810年 - 1861年）は、清朝末期の官僚であり、字を雪軒と称しました。福建省侯官県の出身です。

科挙においては挙人となりましたが、進士の試験には合格できませんでした。しかし、豪商である胡雪巌の援助を受け、浙江塩大使の官職を買い上げました。その後、慈渓、定海、鄞、仁和の各県令を歴任し、その行政手腕は民衆から高く評価されました。

1855年、王有齢は杭州知府に抜擢され、浙江巡撫であった何桂清にその能力を認められました。何桂清が両江総督に就任すると、王有齢は江蘇按察使、さらに布政使へと昇進し、何桂清の財政面での信頼を一身に集めました。

杭州知府時代には、胡雪巌を大いに支援し、阜康銭荘の設立に尽力しました。この銭荘設立への貢献は、胡雪巌が官商として活躍する上での重要な足掛かりとなりました。王有齢は特に捐輸局を設置し、資金管理と食糧運搬を胡雪巌に委ねました。捐輸局の資金は阜康銭荘で一括管理されました。

1860年、太平天国軍が杭州を占領し、浙江巡撫の羅遵殿が自殺するという事態が発生しました。この状況に対し、何桂清は王有齢を後任の浙江巡撫に推薦しました。咸豊帝は王有齢に速やかな杭州奪還を命じました。王有齢は福建軍を率いて太平天国軍を撃破し、杭州を奪還することに成功しました。

同年、太平天国軍10万人が徽州から浙江省に侵入し、厳州を陥落させて杭州へと迫りましたが、王有齢は将軍の瑞昌と共にこれを撃退し、厳州を回復しました。

しかし、1861年10月には、蕭山、諸曁、紹興が相次いで陥落し、食糧供給が途絶えるという深刻な事態に直面しました。王有齢は李元度を按察使に任命し、湘軍8千人を招集しましたが、援軍は龍游で阻まれ、杭州に到着することができませんでした。杭州は太平天国の李秀成軍によって完全に包囲され、城内は食糧が尽き、兵士たちの士気も低下しました。そして、ついに12月、杭州は陥落しました。王有齢は毒を仰いで自決を試みましたが死にきれず、最終的には縊死しました。

王有齢の死後、その功績を称え、壮愍の諡号が贈られました。

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