王林 (リンゴ)

王林（おうりん）

王林は、福島県で生まれた日本を代表する青リンゴの品種です。1930年代に「ゴールデンデリシャス」と「印度」を交配して作られ、1952年に「りんごの王様」という意味を込めて命名されました。

特徴

王林は、黄緑色の果皮に茶色い点々（果点）があるのが特徴です。収穫時期は10月下旬から11月上旬で、貯蔵性にも優れています。

一般的な青リンゴとは異なり、酸味が少なく、甘みが強いのが特徴です。独特の芳香があり、果肉は硬めで緻密、果汁が豊富です。また、リンゴに含まれるポリフェノールの一種であるプロシアニジンを多く含んでいます。

栽培の特徴

樹は直立しやすく、枝が伸びやすい性質があります。自家不和合性のため、受粉には別の品種が必要です。着色管理が不要なため、栽培の手間がかかりにくいとされています。

生産

王林は、日本で3番目に生産量が多いリンゴの品種です。青森県が主な産地で、その他に山形県、岩手県、秋田県、長野県などでも栽培されています。海外では、カナダやニュージーランドでも栽培されています。

歴史

王林は、1931年頃からリンゴの品種改良に取り組んでいた大槻只之助氏によって育成されました。品種登録はされませんでしたが、その美味しさから生産者が普及に尽力し、現在では日本を代表する品種となりました。

1961年には「王林会」が設立され、王林の普及が推進されました。無袋栽培に適した品種であり、生産工数低減に寄与した王林は着実に生産数を増やしていきました。

派生品種

王林を交配親とした品種も多く、「秋しずく」、「きおう」、「トキ」などが生まれています。これらの品種も、王林の持つ甘さや香りの良さを受け継いでいます。

その他

王林という名前は、青森県出身のタレントにも使われています。これは、地元のアイドルグループに所属していた際に、このリンゴの品種名から名付けられたものです。

王林は、その独特な風味と栽培のしやすさから、多くの人々に愛されるリンゴです。見かけたら、ぜひ手に取ってその美味しさを味わってみてください。

参考文献

西尾敏彦 農業共済新聞 (1996年9月11日). “リンゴの王さまを育てた大槻只之助と「王林会」の仲間たち ～情熱が生んだ”奇跡”～”. 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会.
“王林”. りんご大学.
* “Orin”. Pomiferous.

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