王立アイルランド警察隊

王立アイルランド警察隊（RIC）

王立アイルランド警察隊（Royal Irish Constabulary、略称RIC）は、19世紀初頭に設立され、1922年までアイルランドにおけるイギリスの武装警察部隊として活動していました。この組織は、法律に基づいて市民の安全を守るために設立されましたが、最終的にはアイルランドの独立を巡る対立の一因となりました。

設立の背景

アイルランドにおける警察の歴史は、1814年にロバート・ピールが制定した治安維持法にさかのぼります。この法律により、初の組織化された警察隊が誕生しました。1822年にはアイルランド警察法が制定され、地方警察隊の設立が進められました。この過程で、王立アイルランド警察隊はイギリス政府の支配のもとで新しい形を取りました。

警察の構成と役割

王立アイルランド警察隊の構成人員は、約75％がローマカトリック教徒であり、残りの約25％はプロテスタント教徒でした。警察隊は、主に治安維持や犯罪捜査を担っており、その中で特にカトリックの巡査が多くを占めていました。また、各地域の警察や独自の市民当局と連携し、治安を維持する役割も果たしていました。

歴史的な活動

警察隊は、1840年代のアイルランドにおける不穏な状況に直面し、さまざまな抗議活動や暴動の鎮圧に従事しました。1846年に始まったジャガイモ飢饉により、社会不安が高まり、彼らの活動も一層厳しさを増しました。特に、1880年代には土地戦争が起こり、多くの農民が不満を募らせました。

1870年代から1900年代初頭にかけて、警察隊は一般市民との対立を抱え、労働者のストライキや反体制的な活動にも直面しました。特に1907年のベルファスト・ドックでのストライキは、大規模な労働運動として知られています。

アイルランド独立戦争

1918年のイギリス総選挙で、シン・フェイン党が勝利し、1919年に独立宣言が行われました。この動きはアイルランド共和軍の活動を活発化させ、王立アイルランド警察隊はターゲットにされる存在となりました。暴力が増加し、警察隊の隊員は次々と攻撃され、辞職者も続出しました。

解散とその後

1922年には、イギリスとアイルランドの間で王立アイルランド警察隊の解散が決定されました。解散後、その機能はアイルランド自由国のガルダや北アイルランドの王立アルスター警察に引き継がれました。解散とともに、警察の構成が変わり、ローマカトリック教徒の割合が減少し、治安維持に関する状況も大きく変化しました。

旧王立アイルランド警察隊の隊員たちは、その後さまざまな道を選びながらも、アイルランド独立という大きな歴史的変革の中で重要な役割を果たしました。彼らの歴史は、アイルランドが近代国家として確立される過程において、決して忘れてはならない側面です。

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