ロバート・ピール

第2代準男爵サー・ロバート・ピールについて

サー・ロバート・ピール（1788年 - 1850年）は、イギリスの保守党を代表する政治家として知られ、特に二度の首相を務めたことや自由主義的な改革を推進した点で重要な存在でした。彼の生涯と業績は、19世紀のイギリス政治の流れをりょう代表するものであり、彼の影響は現在にも及んでいます。

生い立ちと初期の政治キャリア

ピールは1788年、ランカシャーのベリーに生まれ、父親は産業革命初期のイギリスで最も大きな紡績工場の経営者でした。彼はパブリックスクールで教育を受けた後、オックスフォード大学で学び、1809年にトーリー党（後の保守党）の庶民院議員に初当選。その後すぐにリヴァプール伯爵内閣に入閣し、アイルランド担当大臣として活躍しました。

内政改革とカトリック解放

ピールは内務大臣として、刑法の厳罰主義を見直し、より自由主義的な内政改革を進めることに力を注ぎました。その一環として、カトリックの政治参加を認める改革を実施し、近代的な警察制度の基礎を築きました。

また、彼は1830年に成立したホイッグ党政権の第1次選挙法改正に反対しましたが、政権交代を経て1834年に保守党が政権を奪還し、ピールは初の首相として重責を担いました。しかし、1835年にはアイルランド国教会の教会税転用問題で敗北し、総辞職を余儀なくされました。

第一次ピール内閣と「ヴィクトリア朝の妥協」

1834年から1835年、そして1841年から1846年までの彼の首相在任中、ピールは「ヴィクトリア朝の妥協」と呼ばれる政策を進めました。彼は他党との協力を行いながら、社会改革を行い、1841年には再び首相の座に就き、ウィリアム・グラッドストンを中心に自由貿易を進めました。彼の経済政策は、地主層の反発を受けながらも、関税を引き下げることで殖産興業を促すものでした。

穀物法廃止論争と党内対立

1846年、アイルランドで発生したジャガイモ飢饉が背景となり、穀物の自由貿易に向けた改革が急務となりました。ピールは穀物法の廃止を決意し、内閣での議論を経て、遂に法案を成立させることができました。しかしながら、党内の保護貿易主義者たちとの対立が激化し、最終的に彼は内閣総辞職に追い込まれました。

ピール派の結成と晩年

ピールは穀物法廃止の功績を持ちながらも、保守党内での支持基盤は弱まり、彼自身は党を離れる形でピール派を形成しました。彼の死後、この派閥は保守党内において重要な役割を果たすことになります。ピールは1850年、馬の事故によって亡くなりましたが、彼の政治的影響は現在でも多くの人々に語り継がれています。

人物と評価

ピールは、最上流中産階級の出自でありながら、貴族的な教育を受け、政治家としての才能を発揮しました。その人生は、イギリスの政治史において示された経済政策や社会改革と深く結びついています。彼の理念や改革は、後の政治家たちにも影響を与え、特に自由貿易の推進においてその足跡を残しました。

もう一度検索