班田収授法

班田収授法について

班田収授法（はんでんしゅうじゅほう）は、日本の律令制のもとで施行された、国家が管理する農地の耕作権に関する法制度です。日本ではこの制度を班田制とも呼び、645年から実施されました。これは、唐の均田制を参考にして作られたもので、制度の運営の中心には戸籍や計帳がありました。

概要

日本の班田収授法は、戸籍や計帳に基づいて国家から農地を与えられる権利を持つ貴族や庶民に、田が班給される仕組みでした。もしも田の所有者が死亡すると、その田は国家に戻されました。これは、土地を国家が統治し、民に公平に分配する原則に基づいていました。

均田制との比較

班田制は唐の均田制から影響を受けているとされていますが、両制度の間には大きな違いがあります。均田制では土地が個人単位で配分されるのに対して、日本の班田制では戸口や戸籍に基づいて土地が分配され、班給の手続きも中央政府の強い監視のもとで行われました。特に班田は、太政官の命令のもとで実施される全国的な事業であったため、その運営には多くの手続きと管理が必要でした。

発足の背景と歴史的経緯

班田収授法の創設が最初に記されたのは、日本書紀の646年に記載された改新の詔の中で、「戸籍、計帳、班田収授法を整備せよ」との命令です。しかし、実際の制度が本格的に始まったのは701年の大宝律令の制定以降とされており、その時には公地公民制が確立されていたことが重要でした。

手続きと実施

班田収授は6年ごとに行われ、これを「六年一班」と呼びます。手続きは、戸籍を作成した年の翌年から始まり、具体的には1月30日までに太政官への申請があり、その後、班田の実施が許可される形になります。この手続きにより、良民に与えられる口分田や位田、職田などが規定されていました。

班田の対象

班田の対象としては口分田、位田、職田、功田、そして賜田が定められ、農民男子や女子に応じて異なる面積が割り当てられていました。たとえば、良民男子には2段（720歩）が与えられるなど、社会階層に応じて分けられたのです。

弛緩と終焉

班田収授は、奈良時代の末期に入り、徐々に弛緩し始め、最終的には班田が実施されなくなりました。これには農民の逃亡や、田地の不足、班田手続きの煩雑さが影響したとされています。902年には醍醐天皇によって班田が一度行われましたが、実質的にこれが最後の実施となりました。

さらに、班田収授法が日本の農地制度に与えた影響は少なくなく、班給された田地はその後、農民の私有地となり、国衙領として国司の領地のような存在になりました。農地の管理や施行の視点から、班田収授法は日本の律令制の中で重要な役割を果たしましたが、同時にその限界も明らかにしました。

もう一度検索