現代マンガ図書館

現代マンガ図書館

現代マンガ図書館は、東京都千代田区にある漫画専門の図書館です。漫画を貴重な文化資料として後世に残すことを目的として設立されました。

沿革

この図書館は、もともと貸本業者であった内記稔夫氏が、自身が長年収集し、貸本として提供していたコレクションを基に、1978年11月1日に開館した私設の図書館です。その設立の背景には、内記氏自身の「漫画を単なる娯楽としてではなく、将来にわたって資料として保存したい」という強い願いと、漫画評論家の石子順造氏が提唱した「漫画は保存されるべきだ」という主張に賛同し、協力した多くの人々の支援がありました。開館して間もない頃には、漫画界の巨匠である手塚治虫氏も来館し、設立者の内記氏を激励したという逸話も残っています。

2010年には明治大学との連携が始まり、「明治大学現代マンガ図書館」として運営されるようになりました。図書館の蔵書コレクションは、将来的に明治大学が計画している東京国際マンガ図書館（仮称）に受け入れられる予定となっています。2012年春には、「株式会社ないき」として法人化されましたが、同年6月には設立者である内記稔夫氏が死去しました。その後、図書館の直接的な運営は内記氏の子孫によって引き継がれています。

長らく東京都新宿区にありましたが、2021年3月19日に明治大学駿河台キャンパスへの移転を完了し、リニューアルオープンしました。この移転に伴い、キャンパス内の「米沢嘉博記念図書館」とカウンターサービスや閲覧室が一体化され、両館の豊富な蔵書を複合的に活用することが可能になり、研究者や愛好家にとっての利便性が大きく向上しました。

漫画文化の重要性が認識される中で、2022年には当時の岸田文雄首相が現代マンガ図書館を訪れ、ちばてつや氏、里中満智子氏、弘兼憲史氏といった国内を代表する漫画家たちと懇談しました。首相はこの場で、「大きな漫画の力を応援できるような環境整備を政治の役割として進めたい」と述べ、将来的に国を挙げて漫画文化の保存・振興のための整備構想を進める可能性を示唆しました。

コレクション

現代マンガ図書館のコレクションは、その規模において国内有数です。開館時点では全国からの協力も得て3万冊でしたが、その後も着実に増え続け、1997年には14万冊、2007年には18万冊を超える規模に達しました。これは国内では京都国際マンガミュージアムに次ぐ蔵書数であり、世界的に見ても最大級の漫画コレクションの一つとして知られています。2006年7月時点の内訳では、単行本などの本が約10万5千冊、雑誌が約6万8千冊に加え、同人誌など様々な形式の資料を幅広く所蔵しています。特に、昭和30年代の貸本漫画のコレクションが充実している点は、他の図書館にはない大きな特徴となっています。

漫画の黎明期から現代に至るまでの単行本や雑誌を含む、これほど大規模で体系的なコレクションは、漫画の歴史や文化、社会における影響などを研究する上で不可欠な資料であり、他に類を見ない極めて貴重な学術的資源となっています。

利用方法

現代マンガ図書館を利用するには、一般の場合、入館料として330円が必要です（会員制度による免除や割引特典があります）。また、蔵書を閲覧する際には、1冊につき110円の閲覧料がかかります。ただし、貴重な資料の保存という観点から、1979年以前に刊行された古い蔵書の閲覧については、図書館の会員のみに限定されています。

現代マンガ図書館は、漫画を文化遺産として守り、研究し、次世代に伝えるための重要な役割を担い続けています。

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