現物出資

現物出資（げんぶつしゅっし）について

現物出資とは、株式会社の設立や新株発行の際に、金銭ではなく他の財産を持って出資を行うことを指します。この方法を利用することで、現金以外の価値ある資産を企業の資本に組み込むことができ、資本金の増加を図ることが可能です。

会社法における現物出資の規定

現物出資に関する詳細な規定は、会社法に定められています。この法律によれば、現物出資を行う際は、いくつかの条件や手続きを遵守する必要があります。

株式会社の設立における重要な条項

設立にあたっては、発起人が定款に現物出資に関する内容を記載する必要があります。特に、500万円を超える現物出資については、公証人の認証を受けた後、裁判所に検査役の選任を申し立てる義務があります（33条）。また、設立時の取締役は現物出資財産をしっかりと調査しなければなりません（46条）。

現物出資を行うことができるのは発起人に限られており（34条, 63条）、出資の果たされない場合は通常の出資と同様に株主権を失うリスクもあります（208条5項）。加えて、出資された財産の価値が不足している場合、取締役等がその責任を負うことになります（213条1項1号〜3号）。

募集株式に関する規制

現物出資を利用しての募集株式発行に際しては、出資される財産の内容と価額を明記する必要があります（199条）。物的会社への出資の場合、過大評価されると資本の実質を損なう恐れがあるため、裁判所が選任した検査役による検査が求められ（207条）、これに伴う規制も存在します（208条、旧商法）。ただし、一定の条件を満たせば、これらの規制を回避することも可能です（207条9項各号の場合）。

現物出資のメリットと効果

現物出資の大きな利点は、資本金の拡大を通じて企業の社会的地位や威信を向上させることができる点です。これは、企業が持つ資産の質を上げることに繋がり、他のビジネスパートナーや顧客からの信用を得る助けとなります。さらに、法人が現物出資を行う場合、他の法人に資産を移転し、対価として株式を受け取ることになるため、分社型分割と同様の効果も得られると言えるでしょう。

注意点

ただし、現物出資にはリスクや注意点も存在します。出資の履行がされなかった場合には、株主としての権利を失うことになるため、発起人や取締役は十分な注意を払う必要があります。また、出資資産の評価が適切であることを確保するためにも、専門的な意見を求めることが重要です。

まとめ

現物出資は、株式会社設立と資本強化において非常に有効な手段です。正しい理解と適切な手続きを通じて、企業の発展や社会的名誉の向上に寄与することでしょう。

もう一度検索