琉球犬

琉球犬について

琉球犬（りゅうきゅういぬ）は、沖縄県原産の犬種であり、縄文時代から存在していた歴史ある犬です。この犬は特にイノシシを狩る猟犬として使用されてきました。一般的に、沖縄では琉球犬を「トゥラー」や「アカイン」と呼び、それぞれ毛色に応じて「赤トゥラー」、「黒トゥラー」、「白トゥラー」などと細分化されます。

歴史的背景

琉球犬は縄文時代から沖縄地域に存在し、地域に特有の犬種として同時代の縄文犬の一種とされます。弥生時代に入ると、北方系の弥生犬が本州方面から渡来し、日本犬に影響を与えましたが、沖縄県と北海道では縄文犬の血統がそのまま維持されてきました。近年の研究によると、琉球犬は北海道犬と遺伝的に非常に近い関係にあるとされています。

しかし、第二次世界大戦の影響によって琉球犬の数は大きく減少しました。また、アメリカ軍の進駐に伴い、多数の洋犬が沖縄に持ち込まれたことで、琉球犬は街中から姿を消すこととなりました。それでも、沖縄本島北部や八重山諸島では猟犬として、一部は生き延びていました。

その後、田名部謙一が行った遺伝学的な調査が、琉球犬の保存活動を促進するきっかけとなり、動物管理所の新垣義雄所長が在来犬保護の提言を行うようになりました。この結果、1990年に「琉球犬保存会」が設立され、血統登録が開始されました。この活動には多くの専門家が参加し、わずか5年後には琉球犬が沖縄県の天然記念物に指定されました。

2000年には会員数が320人、琉球犬は1200頭以上にまで増加しましたが、その後会員の高齢化や知識の低下に伴い保存会は休止。血統書の発行も停止され、メディアで注目される一方で無秩序な交配が増加する問題も生じています。近年では、沖縄県立中部農林高等学校が琉球犬の保存に取り組んでおり、2018年には約450頭が存在していると報告されています。

特徴

琉球犬は中型犬に分類され、体高はオスで49から55cm、メスは46から52cmになります。体重は15から20kg程度です。この犬の特徴的な耳は逆八の字状で、目の色は茶色または青色です。また、尾は半円形をした差し尾であり、被毛は硬く短いダブルコートであります。耐暑性に優れた被毛は密生しておらず、色彩は赤、白、黒、虎毛、焦げ茶などさまざまです。

性格は非常に人懐っこく、縄張り意識が強い一方、暑さに対する耐性も高いです。特徴として「狼爪」（ろうそう）と呼ばれる6本の指や、舌にある斑紋「舌斑」などが挙げられます。また、大きく分けて山原系と八重山系の2つの系統が存在します。

畜犬団体

琉球犬に関連する主要な畜犬団体には「琉球犬保存会」が存在し、過去の活動を通じてこの犬の保護に尽力してきました。

琉球犬は、その文化的背景や歴史的意義からも、沖縄県の重要な文化遺産となっています。

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