山原

山原（やんばる）とは

沖縄本島北部に広がる山原（やんばる）は、深い緑の森と多様な動植物が生息する自然豊かな地域を指します。行政上の明確な定義はありませんが、一般的には名護市以北の地域、特に国頭郡に属する市町村を指すことが多いです。この地域は、その独特な生態系から「東洋のガラパゴス」とも呼ばれ、多くの人々を魅了しています。

定義と範囲

山原の範囲は、歴史的な経緯を持つ国頭、中頭、島尻といった地域区分とは異なり、行政的な境界線が明確に定められているわけではありません。しかし、沖縄県が発行する観光ガイドマップなどでは、名護市を含む北部地域全域を「広義の山原」として紹介しています。また、やんばる国立公園が主に名護市以北の山地部に位置していることから、この周辺地域を指して「山原」と呼ぶこともあります。

地理

市町村

山原と呼ばれる地域は、以下の市町村が含まれます。

名護市（なごし）
国頭村（くにがみそん）
大宜味村（おおぎみそん）
東村（ひがしそん）
今帰仁村（なきじんそん）
本部町（もとぶちょう）
恩納村（おんなそん）
宜野座村（ぎのざそん）
金武町（きんちょう）

これらの市町村は、豊かな自然に恵まれ、独自の文化を育んでいます。

統計

山原地域の面積は約764平方キロメートルで、人口は約12万人です。

地形

沖縄本島の中南部地域が隆起珊瑚礁からなる低い丘陵地であるのに対し、山原地域は低いながらも山々が連なり、多くの河川が流れています。沖縄本島最高峰の与那覇岳（標高503m）をはじめ、嘉津宇岳、多野岳、名護岳、恩納岳などの山々がそびえ立っています。

自然

山原は、貴重な動植物の宝庫であり、奄美大島や徳之島と共通する種も多く見られます。照葉樹林が広がる地域には、固有種を含む多様な生物が生息しています。

主な生物

山原の名を冠する生物として、以下のものが挙げられます。

ヤンバルホオヒゲコウモリ
ヤンバルクイナ
ヤンバルテナガコガネ
ヤンバルクロギリス
ヤンバルトサカヤスデ（外来種）
その他（ヤンバルナスビ、ヤンバルハグロソウ、ヤンバルセンニンソウ、ヤンバルマユミ、ヤンバルアカメガシワ、ヤンバルゴマ、ヤンバルミョウガ、ヤンバルキヌラン、ヤンバルタマシダ、ヤンバルフモトシダなど）

これらの他にも、ノグチゲラやハナサキガエルなど、山原固有種が数多く生息しており、その生物多様性の豊かさから「東洋のガラパゴス」と称されています。

観光

山原には、奥間ビーチや部瀬名ビーチなどの美しい保養施設が整っており、多くの観光客が訪れます。しかし、かつては陸路がなく、船でしかアクセスできなかった集落も存在し、陸の孤島と呼ばれていました。

自然保護施設

山原の自然を守るため、以下の施設が設けられています。

やんばる野生生物保護センター「ウフギー自然館」
ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森

これらの施設では、山原の自然や生物について学ぶことができます。

山原が登場する作品

ちむどんどん（2022年度前期 NHK連続テレビ小説）


山原は、その豊かな自然と多様な生物、そして歴史を通じて、多くの人々を魅了し続けています。その貴重な自然を守り、後世に受け継いでいくための努力が続けられています。

脚注

関連項目

沖縄本島

外部リンク

おきなわカエル商会
* 森と水とやすらぎの里くにがみ

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