瑞龍寺 (大阪市)

瑞龍寺：大阪の黄檗宗寺院と鉄眼道光の功績

瑞龍寺は、大阪府大阪市浪速区元町に鎮座する黄檗宗の寺院です。龍、人魚、河童といった珍しいミイラを寺宝として所蔵しており、その点でも広く知られています。

歴史：鉄眼道光と一切経版木

瑞龍寺の創建年代は不明ですが、元々は薬師堂であったと伝えられています。寛文10年（1670年）、僧・鉄眼道光によって再興され、瑞龍寺と改称されました。その後、鉄眼道光は瑞龍寺を大坂における黄檗宗布教の拠点として発展させ、「鉄眼寺」という通称でも呼ばれるようになりました。

当時の瑞龍寺は、広大な境内には諸堂、蓮池、藍畑、綿畑が広がり、文人墨客にも愛される風光明媚な場所でした。

鉄眼道光は師である木庵禅師から授かった6,957巻もの経典を印刷することを決意します。そのための費用を捻出するため、鉄眼道光は日本全国を巡り托鉢を行いました。しかし、募金活動中に堀江西一帯を襲った大洪水に見舞われ、集めた資金を被災者救済に充てざるを得ませんでした。

その後、再度の募金活動を行いますが、今度は摂河泉平野を襲った大飢饉が発生。鉄眼道光は借金までして難民救済に尽力しました。こうして、3度目の托鉢でようやく経典印刷に必要な費用が集まったのは、最初の募金活動から14～15年もの歳月が経過した後でした。

このように、幾多の困難を乗り越えて完成した一切経の版木は、現在48,275枚が現存し、重要文化財に指定されています。これらの版木は、現在も萬福寺塔頭宝蔵院（宇治市）の収蔵庫に保管され、経典の印刷に使用されています。鉄眼道光は、53歳で瑞龍寺にて没し、「七転八倒五十三年」という言葉を残しました。弟子たちは、印刷された2000部の一切経を宗派を問わず、日本各地の寺院に納めたと伝えられています。

戦災と再建

昭和20年（1945年）3月13日の大阪大空襲により、瑞龍寺は全焼しました。その後、昭和25年（1950年）に木造で本堂が再建され、後に鉄筋コンクリート造で再建されました。

境内

境内には、鉄眼禅師荼毘処地（大阪市顕彰史跡・顕彰碑）、天悦即禅信士之塔、開運稲荷、延命地蔵、厄除慈母観音、暁鐘成翁墓、松木淡淡墓、水元其梁墓、八千房代々墓、芭蕉・其角墓など、歴史を感じさせる様々な建造物や墓碑が点在しています。

交通アクセス

Osaka Metroなんば駅から徒歩6分の場所に位置しています。

関連情報

瑞龍寺の歴史や鉄眼道光に関する情報は、以下の関連図書やウェブサイトで確認できます。

源了円『鉄眼 - 仮字法語・化縁之疏』講談社、1994年
角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典27 大阪府』角川書店、1983年、650-651頁

瑞龍寺は、歴史と文化、そして数奇な運命を辿ってきた寺院です。その歴史的価値と、鉄眼道光の偉業を知る上で、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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