瓦斯電一型練習機

瓦斯電一型練習機

瓦斯電一型練習機（がすでんいちがたれんしゅうき）は、日本の東京瓦斯電気工業（瓦斯電）が試作した基本練習機です。本機は、他の二型および三型の準同型機も含め、その革新的な設計が注目されます。

概要

1936年（昭和11年）、瓦斯電の大森工場において、独自の発想に基づく新しい練習機の設計が行われました。この機体は、当時生産していたKR-2小型旅客機とエンジン及び降着装置が共通化されており、同一の機体に異なる構造の主翼を取り付けることで、基本練習、中間練習、高等練習のいずれにも対応できる新しいタイプの練習機を実現していました。

機体は鋼管溶接骨組と木製骨組に布張りの複座式デザインで、降着装置は固定式です。一型は上翼をガル翼とした複葉の構造を持ち、二型は一葉半、三型は高翼の単葉式の主翼を採用しています。二型の補助翼は元々エルロン・フラップという形式でしたが、のちに通常の形式のものに変更されました。胴体、エンジン、尾翼、降着装置は各型で共通ですが、胴体を単座仕様に改装することも可能です。

開発と試験

1937年（昭和12年）4月、一型仕様の試作機が完成しました。この機体は従来の初等練習機を上回る速度を達成し、日本海軍による審査を受けましたが、その後の審査結果は公表されておらず、制式採用には至りませんでした。

その後、瓦斯電の航空機部門は日立製作所と合併し、1940年（昭和15年）春には二型仕様の試作機が「日立式二型練習機」として名称が変更されました。このモデルは民間向けのスポーツ機として宣伝されましたが、量産には至らず、開発は中止されることとなりました。そのため、三型の機体は製作されていない状況です。

諸元（二型仕様）

• - 全長: 6.687 m
• - 全幅: 9.291 m（一型：9.32 m）
• - 全高: 2.859 m
• - 主翼面積: 10.46 m²（上翼）、4.85 m²（下翼）
• - 自重: 650 kg
• - 全備重量: 906 kg（一型：870 kg）
• - エンジン: 日立 神風三型 空冷星型7気筒（最大180 hp） × 1
• - 最大速度: 219 km/h
• - 巡航速度: 160 km/h
• - 実用上昇限度: 4,900 m
• - 航続距離: 500 km
• - 翼面荷重: 59.2 kg/m²
• - 乗員: 2名

参考文献

• - 野沢正『日本航空機辞典 明治43年〜昭和20年』モデルアート、1989年、211頁。
• - 野沢正 『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』 出版協同社、1980年、49・54 - 56頁。全国書誌番号:81001674。

関連項目

• - 日本製航空機の一覧

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