甑

甑（こしき）についての詳細

甑とは

甑（こしき）は、古代中国に端を発する特別な土器であり、主に米を蒸すために利用されてきました。時には須とも称され、竹や木製の蒸籠と同様に、蒸すための調理器具として重宝されています。日本においても古くから使われており、独特の調理法が発展しました。

甑の使い方

甑を使用する際は、専用の湯を沸かすための器具（甕など）と組み合わせて使います。甑の内部底には、すのこ、ざる、または布などを引き、その上に米やその他の調理物を供えます。これを熱湯を沸かした甕の上に載せることで、間接的に蒸し料理が可能になります。この方式により、食材はふっくらと蒸しあがり、風味を最大限に引き出すことができます。

甑の歴史

甑の歴史は非常に古く、実際には中国の河姆渡遺跡などから出土した証拠により、新石器時代にまで遡ります。この時期の人々は、米を蒸すための高度な技術を持っていたことが示されています。さらに、龍山文化の時代になると、甑と鬲（れき）の要素を取り入れた新たな形状の土器が出現し、蒸し調理の技術はさらに進化しました。

日本においては、甑は古墳時代の中期、約5世紀頃に渡来人によって朝鮮半島から持ち込まれたとされています。興味深いことに、甕（かめ）に比べて甑は出土する量が少なく、従って蒸し調理法が一般的に普及したとは考えられていません。そのため、特別な行事、例えばお祭りやお祝い事の際に限り、米を蒸す技法が用いられていたとも考えられています。

甑の形態は時代を経て変遷を遂げており、5世紀頃に存在した甑は複数の穴を持っていましたが、6世紀から7世紀頃にかけては大きな穴が一つだけの形式に進化し、底部に簾、ざる、布を敷くことで、より効率的かつ便利に使用できるようになったとされています。

甑炉

日本には独自に発展した溶鉄炉として「こしき炉（甑炉）」があります。この名は、形が似通っていることから甑に由来しています。日本の伝統的な製鉄技術と結びついたこの炉は、地域ごとに異なる技法を示しており、文化的な背景を持つ重要な遺産です。

関連項目

• - 蒸籠
• - 鬲

まとめ

甑は、古代から現代にかけて日本における蒸し料理の重要な役割を果たしてきました。その歴史的背景は深く、また調理技術の進化を示す貴重な道具でもあります。

もう一度検索