甘木鉄道AR300形気動車

甘木鉄道AR300形気動車

甘木鉄道のAR300形気動車は、2001年から2006年にかけて製造された7両の気動車です。この車両は、老朽化した1986年製のAR100形を置き換えるために設計されました。製造は富士重工業によるもので、後に新潟トランシスが引き継ぎました。

概要

AR300形は、富士重工業が第三セクター鉄道向けに設計した標準車両LE-DCに基づいており、AR200形と同じ車体長を誇ります。ただし、AR200形ではバスの部品を使用していたのに対し、AR300形ではその部品が排除され、より鉄道向けに特化したデザインとなっています。特に側面窓は上段固定下段上昇窓に改め、扉は引き扉に変更され、さらに車両の前面は貫通形に設計されています。

車内と設計

車内は定員124名のセミクロスシートが設置されており、快適さを追求した仕様です。車両の塗装は、基本的にAR100形およびAR200形と同様のデザインですが，貫通扉の導入によって、マスコットキャラクター「レビット君」のイラストが側面に移動しました。

製造の流れとして、AR301からAR303は富士重工業で作られましたが、同社が鉄道車両製造事業から撤退したため、後のAR304からは新潟トランシスが製造を引き継ぎました。また、AR303は富士重工業における最後の製造車であり、鉄道車両の生産の重要なマイルストーンとされています。

エンジンと性能

AR300形には、UDトラックスの直列6気筒横型直噴式エンジンPF6HT03（295PS/2100rpm）が搭載されています。従前のモデルと比較してエンジン出力が向上しており、冷房装置もエンジン直結式へと変更されています。これにより、性能が一層向上し、快適な旅を提供しています。台車はボルスタレス式を採用し、走行性能も重視されています。

運用と変遷

2001年12月にAR301が運用を開始し、その後の2006年にはAR306とAR307も運用を開始しました。これに伴い、旧型のAR106およびAR201は廃車となりました。現在では、AR300形と同じ性能を持つAR400形が同鉄道で運用されています。運用形態は、単行または2両編成で行われています。

AR303は、2014年にトラックとの衝突事故を起こしたものの、修復を経て約半年後に運用復帰しました。事故の影響で、一時的に運行がストップする事態となりましたが、その後無事に運行を再開し、現在も甘木鉄道を支える重要な車両として活躍しています。

車両のデザインと塗装

各車両のデザインは異なっており、AR301は開業当初のデザインを踏襲、AR302は水源地と柿をイメージしたカラーリング、AR303は旧国鉄キハ20形を模したものです。各車両の個性的な塗装は住民や通勤客に愛されており、地域のランドマークとしても機能しています。

AR307は2023年から社員による新しいデザインに変更され、これによりさらなるフレッシュなイメージが加わりました。甘木鉄道AR300形はその性能、デザイン、地域への親しみから、今後も多くの人々に支持され続けるでしょう。

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