甘辛しゃん

連続テレビ小説『甘辛しゃん』

『甘辛しゃん』（あまからしゃん）は、1997年10月6日から1998年4月4日まで放送されたNHKの第57作目の連続テレビ小説です。この作品は、兵庫県神戸市灘の「榊酒蔵」を舞台にし、女性酒職人を目指す主人公の榊泉とその家族の物語が描かれています。本作では、阪神・淡路大震災の影響も色濃く取り上げられたことが特徴的で、視聴者に深い印象を残しました。

概要

「甘辛しゃん」というタイトルは、灘地方の吟醸酒の味わいを表現する言葉に由来しています。初回の視聴率は24.4％、平均視聴率は26.6％、最高視聴率は30.0％を記録しました。また、ヒロインオーディションには1863人が応募し、主演は佐藤夕美子が務めました。作品は後に緒形裕美によって漫画化されましたが、現在は絶版となっています。

あらすじ

物語は昭和35年8月、丹波篠山の農村が舞台です。主人公の泉は、父を交通事故で亡くし、母と二人三脚で生活を送っていました。泉の父親は「しゃんとあがった味」の酒を作ることを夢見ていましたが、その夢が彼女に引き継がれます。

ある日、泉は灘の有名な造り酒屋・榊酒造の当主の息子、拓也と出会います。秋に起きた台風によって、泉と母のふみは水田や家を失い、その後、父の杜氏仲間である茂吉の提案で榊酒造に住み込みで働くことになります。そこでの生活は様々な文化や伝統にあふれており、初めは戸惑いを感じていましたが、次第に彼女はこの環境になじんでいきます。

泉と拓也はお互いにいろんな感情を抱えつつも、徐々に関係を深めていきます。しかしそのさ中、拓也の父・信太郎がふみにプロポーズ。この時、泉は母が拓也の義姉となる過程を目の当たりにし、さらに複雑な思いを抱きます。やがて信太郎は急死し、泉は心の葛藤を経て、父の夢を実現するために、純米吟醸酒作りに邁進するようになります。

出演キャスト

作品には多くのキャラクターが登場し、それぞれの人生が描かれています。主人公の榊泉役を演じたのは佐藤夕美子で、彼女は困難にめげず酒造りに挑む女性を表現しました。泉の母、ふみ役には樋口可南子、拓也役には岡田義徳がキャスティングされ、二人の禁断の恋も物語の一部となります。信太郎役には風間杜夫、祖父・庄一郎役には植木等が出演し、代々続く酒蔵の物語を支える重要な役割を果たしています。

スタッフ

本作の脚本を担当したのは、宮村優子と長川千佳子で、彼女たちの描く繊細な人間模様は多くの視聴者の心を惹きつけました。また、音楽は古川昌義が手掛け、主題歌『涙の天使に微笑みを』は原由子によって歌われ、作品の雰囲気を盛り上げました。

『甘辛しゃん』は、人生の転機に立ち向かう人々の姿を描いた感動的な物語で、多くの視聴者に愛された作品です。

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