生活の設計

『生活の設計』（原題：Design for Living）は、1933年、エルンスト・ルビッチ監督が贈る、ノエル・カワードの戯曲を映画化した作品です。軽妙洒脱な会話劇と、ルビッチ監督独特の演出が光る、ソフィスティケイテッド・コメディとして知られています。三角関係という、時にドロ沼になりがちなテーマを、巧みな演出と俳優陣の演技力で、ユーモラスで魅力的な物語に昇華させています。

物語は、パリで暮らす劇作家志望のトム・チェインバーズと画家志望のジョージ・カーティスという二人の男性の奇妙な共同生活から始まります。二人はパリ行きの列車で出会った魅力的な広告デザイナー、ギルダ・ファレルに惹かれ、やがてそれぞれがギルダへの想いを抱くようになります。しかし、二人は互いの友情を重んじ、ギルダへの想いを断ち切ろうと試みます。

ところが、ギルダが二人のアパートを訪ねてきたことで、事態は思わぬ方向へと進展します。ギルダは、二人と性的関係を持たないという条件付きで、友人、ミューズ、そして批評家として一緒に暮らすことを提案するのです。この予想外の展開は、物語全体に軽妙なユーモアと緊張感を生み出します。

トムはギルダのおかげでプロデューサーと繋がり、ロンドンへ旅立ちます。その間に、ジョージとギルダは互いに惹かれ合い、恋人関係に発展します。トムが帰国すると、ジョージはギルダと共に高級アパートへと移り住んでおり、二人の関係は大きく変化していました。その後、トムとギルダは関係を再開しますが、ジョージが帰国したことで、再び三人の間で複雑な感情が渦巻きます。

ギルダは、この混乱した状況を終わらせるため、広告会社重役のプランケットとの結婚を決意します。しかし、トムとジョージから贈られた鉢植えの花に心を揺さぶられ、プランケットとの初夜を拒否します。その後、トムとジョージはプランケット主催のパーティーを台無しにし、ギルダの寝室に隠れます。プランケットはそこで三人を発見し、大騒動となるのです。

最終的にギルダはプランケットと別れ、トムとジョージと共にパリに戻り、以前のような奇妙な共同生活を再開することを決意します。この結末は、一見すると非現実的ですが、ルビッチ監督のユーモラスな演出と、俳優たちの巧みな演技によって、自然で納得感のあるものとなっています。

フレデリック・マーチ演じるトム、ゲイリー・クーパー演じるジョージ、そしてミリアム・ホプキンス演じるギルダ、それぞれのキャラクターが持つ魅力と複雑な人間関係、そして時代を感じさせる洗練された映像美もこの映画の見どころです。予測不能な展開と、機知に富んだ会話、そして個性豊かな登場人物たちが織りなす、忘れられないコメディ映画となっています。軽妙なユーモアと、登場人物たちの複雑な感情の機微を繊細に表現した、まさにルビッチ監督の真骨頂と言える作品です。

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