生田警察署襲撃事件

生田警察署襲撃事件

生田警察署襲撃事件は、第二次世界大戦終結直後の混乱期、現在の兵庫県神戸市中央区に位置する生田警察署が、在日朝鮮人を中心とする暴徒によって二度にわたり襲撃された事件です。1945年（昭和20年）12月24日と、翌1946年（昭和21年）1月9日に発生し、戦後の社会不安を象徴する出来事として記録されています。

事件の背景

終戦直後の日本は、社会秩序が大きく混乱していました。食糧不足、失業者の増加、そして占領軍による統治など、様々な要因が重なり、社会全体に不満や不安が蔓延していました。そのような状況下で、在日朝鮮人に対する差別や偏見も存在し、彼らの不満が鬱積していました。この事件は、そうした社会背景の中で発生しました。

第1回目の襲撃事件

1945年12月24日午後9時頃、50名を超える朝鮮人の集団が、生田警察署に押し寄せました。彼らは「岡山の刑事を出せ」と叫びながら署内に侵入し、拳銃や日本刀、匕首などで武装して署員を軟禁しました。彼らの目的は、岡山県警察部の捜査員を探し出すことでした。

事件の発端は、岡山市内で発生した拳銃強盗事件に遡ります。7人組によるこの強盗事件を追って、岡山県警の捜査官が神戸市に出張しており、生田警察署が捜査に協力していました。暴徒たちは、その捜査協力を逆恨みし、生田警察署を襲撃したと考えられています。

署内の警察電話線は切断され、警察署は外部との連絡を遮断されました。しかし、事件を聞きつけた連合国軍部隊が駆けつけ、暴動は鎮圧されました。

第2回目の襲撃事件

1946年1月9日、三宮ガード下で賭博団が検挙されたことを受け、30人から40人の朝鮮人が再び生田警察署に侵入しました。彼らの目的は、検挙された犯人の奪還でした。しかし、この事件も進駐軍の協力を得て鎮圧され、首謀者3人が検挙されました。

事件の影響

生田警察署襲撃事件は、戦後の混乱期における社会不安を浮き彫りにしました。また、在日朝鮮人に対する差別や偏見の問題を改めて認識させるきっかけとなりました。この事件を教訓に、警察は治安維持体制の強化を図り、社会全体で人権尊重の意識を高める必要性が認識されました。

参考文献

兵庫県警察史編さん委員会編『兵庫県警察史 昭和編』兵庫県警察本部、1975年

関連項目

生田警察署
阪神教育事件
長田区役所襲撃事件
東成警察署襲撃事件
暴力団

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