生駒聖書学院

生駒聖書学院（いこませいしょがくいん、英語: Ikoma Bible College、略称: IBC）は、奈良県生駒市俵口町に校舎を構える、プロテスタント聖霊派の神学校です。この学院は、日本ペンテコステ教団の発展に貢献する有能な教職者、すなわち牧師や伝道者を育成することを目的に、1929年にカナダ人宣教師レオナード・クートによって設立されました。

沿革

創設以来、生駒聖書学院は日本のキリスト教界における教職者養成機関としての歩みを進めてきました。しかし、太平洋戦争が勃発し、社会情勢が緊迫する中で外国人宣教師が帰国を余儀なくされたため、学院も一時的にその活動を停止せざるを得なくなりました。終戦後の1950年、学院設立者であるレオナード・クートが再び来日しました。クート師は、荒廃した教会を立て直し、日本ペンテコステ教団を再建する働きと共に、生駒聖書学院の教育活動も再開させました。これは、戦後の日本の教会復興において、新たな信仰の担い手を育てる重要な役割を担うこととなりました。学院は困難な時代を経て、再び伝道者育成の歩みを始めたのです。

教育理念と特色

生駒聖書学院は、聖書全体の権威を信じる「聖書信仰」を教育の基盤に据えています。プロテスタントの中でも特に聖霊の働きを重んじる聖霊派に属しており、聖書に基づいた確固たる信仰理解と、聖霊の満たしによる力強い奉仕を兼ね備えた教職者の育成を使命としています。学院の教育方針を象徴するモットーは「不可能は挑戦となる」です。この言葉は、信仰によってどんな困難な状況でも神の御業に挑戦し、不可能と思えるようなことにも果敢に取り組む精神を学生たちに鼓舞しています。単に知識を詰め込むだけでなく、実践的な伝道活動や教会形成に必要な能力、そして揺るぎない信仰心を育むことに重きを置いています。

教育体制と現状

学院には、より深く集中的に神学を学ぶための本科（正規課程）が設置されており、これは3年間の修業期間となります。主に教会奉仕や専任の牧師を目指す学生がここで学びます。一方、すでに仕事や他の奉仕を持ちながら学びたいという方々のために、2年間の通信制課程も用意されています。この通信制は、地方に住む方や時間の制約がある方でも神学教育を受けられる機会を提供しています。また、特定の分野に関心がある方や、正規課程ではない形で学びたい方のために、科目等履修生や聴講生としての受け入れも行っています。現在の学院の責任者、すなわち院長は榮義嗣氏が務めており、学院の運営と教育方針の推進を担っています。

主な卒業生

生駒聖書学院からは、教会や様々な分野で活躍する多くの働き人が巣立っています。その中でも特筆すべき卒業生として、金沢泰裕氏が知られています。金沢氏は当学院で聖霊派の神学を学んだ後、さらに神戸改革派神学校でも学びを深めるという、多様な神学背景を持つ人物です。現在はイエス教日本世界宣教会に所属し、大阪弟子教会の牧師として活発な奉仕を行う傍ら、母校である生駒聖書学院で教師としても教鞭を執り、後進の指導にあたっています。また、通信制課程を修了した卒業生の中には、詩人として独自の表現活動を展開している中島省吾氏がいます。彼は通信制で学んだ信仰の知識や経験を、創作活動に生かしています。

生駒聖書学院