聖霊派

聖霊派とは

聖霊派とは、キリスト教の教派の中で、三位一体の神における聖霊の働きを特に強調する教派や集団を指す総称、あるいは俗称です。1900年頃にプロテスタントのホーリネス教会からペンテコステ運動として始まったペンテコステ派がその起源とされますが、1960年代以降のカリスマ運動や1980年代からの聖霊の第三の波に属する教団、教会、個人も含まれます。カリスマ運動は教派を超えた広がりを持つため、特定の教団に分類することが難しいですが、ペンテコステ派と合わせて聖霊派という概念で捉えられます。

歴史

初代教会における聖霊の働き

キリストの昇天後、ペンテコステの日に教会が誕生しました。初代教会では、異言、預言、病の癒し、死者の復活、悪霊払いなどの聖霊による賜物が現れていました。

カリスマタ中止理論

しかし、アウグスティヌスは使徒時代の終焉と聖書正典の完結をもって、これらの賜物がなくなったと説きました。ヨハネス・クリュソストモスもこの説に同意し、宗教改革者のルターやカルヴァンも「カリスマタ中止理論」を受け入れました。

宗教改革者たちが終焉説を受け入れた背景には、カトリック教会が奇跡を根拠に教義を主張したことや、宗教改革者自身が奇跡の経験を持たなかったことが挙げられます。

初期の聖霊派

テルトゥリアヌスが参加したモンタノス派は、異言を語ったとされます。1830年代には、エドワード・アービングやメアリー・キャンベルが異言を語り、病を癒すなどの活動を行い、これがペンテコステ派につながったとされています。

19世紀後半には、ジョン・アレクサンダー・ドウィがアメリカで癒しと再臨を説き、キリスト教カトリック使徒教会を設立しました。彼の教会は、聖霊による治療儀礼を行い、禁欲的な集団生活を実践しました。また、南アフリカでの伝道活動を通じて、多くの信者を集め、シオニスト系独立教会へと発展しました。

ペンテコステ派

1901年、ホーリネス派のチャールズ・パーハムが女学生に按手した際、異言が始まったとされます。パーハムは、聖霊のバプテスマを受けることが大患難時代を逃れる唯一の方法であり、異言はその証拠だとしました。ウィリアム・ジョセフ・シーモアが指導したアズサ・ストリート・リバイバルを通じて、ペンテコステ運動は拡大しました。

ペンテコステ派は、伝統的に異言を聖霊のバプテスマの証拠とし、聖霊を受けることと異言を同一視してきました。また、ウェスレアン神学やホーリネス神学の影響を受けています。

カリスマ派

1960年、米国[[聖公会]]の司祭デニス・ベネットが異言を伴う聖霊のバプテスマを公表したことがきっかけで、カリスマ運動が始まりました。この運動は、プロテスタントやカトリックにも広がりを見せました。

カリスマ派は、異言を聖霊の賜物の一つとして捉えています。

聖霊の第三の波

1980年代には、福音派のピーター・ワーグナーらが、フラー神学校の講座を通じて、宣教論を展開しました。彼らは、力の伝道、癒し、霊的戦いを強調し、聖霊の第三の波と呼ばれる運動を推進しました。

福音派は、聖霊のバプテスマと異言に関する理解や直接啓示の問題から、ペンテコステ派やカリスマ派の働きを拒否していましたが、第三の波の登場以降、聖霊派を受け入れるようになってきました。

教理

聖霊派の教理は、聖霊の働きを強調する点において共通していますが、教派によって多少の違いがあります。

ペンテコステ派: 異言を聖霊のバプテスマの証拠とし、聖霊を受けることと異言を同一視する傾向があります。
カリスマ派: 異言を聖霊の賜物の一つとして捉え、ペンテコステ派よりも柔軟な立場を取ります。
聖霊の第三の波: 聖霊の働きを認めつつも、聖霊のバプテスマと新生を同一視せず、福音派の教理との調和を図ろうとする傾向があります。

教会・団体

聖霊派には、多くの教会や団体が存在します。

ペンテコステ派: アッセンブリーズ・オブ・ゴッドなどが代表的です。日本では、生ける水の川が関連書籍を発行しています。
カリスマ派: 日本では、聖霊刷新協議会などの団体があります。
聖霊の第三の波: マルコーシュ・パブリケーション社、リバイバル新聞、プレイズ出版、新生運動などが関連書籍を出版しています。

聖霊派の聖書

聖霊派の日本語訳聖書として、『現改訳聖書』があります。

現在の動向

ペンテコステ派、聖霊の第三の波、カリスマ運動の一部は、現在では福音派の有力な潮流として受け入れられています。しかし、かつては福音派から否定的な態度を示されていた時期もありました。

聖霊派は、キリスト教の中で重要な位置を占めており、今後もその動向が注目されます。

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