産業組合法

産業組合法(さんぎょうくみあいほう)



産業組合法は、1900年(明治33年)3月7日に公布された法律法律第34号)で、かつて日本に存在しました。この法律は、アジアにおいて初めて協同組合の原則を具体的に規定した画期的なものであり、その後の日本の協同組合運動の基礎となりました。

成立の背景



産業組合法が制定された背景には、当時の日本の資本主義の発展がありました。急速な資本主義の発展に伴い、中小零細企業は大資本に圧倒され、経営が困難になるという状況が生じていました。このような状況を打開するために、中小零細企業の救済策として、協同組合の設立が推進されることになったのです。

この法律の制定には、品川弥二郎平田東助といった人物が尽力しました。彼らは、協同組合の理念を日本社会に根付かせ、中小零細企業の自立を支援しようと努めました。

法律の内容



産業組合法は、協同組合の基本原則を組み込んだ法律として、以下のような特徴を持っていました。

加入と脱退の自由: 組合員は自由に組合に加入したり、脱退したりすることができました。
議決権の平等: 組合員は出資額に関わらず、平等な議決権を持っていました。
出資利子の制限: 出資金に対する利子には制限が設けられていました。
利用分量配当: 組合の事業によって得られた利益は、組合員の利用量に応じて配分されました。

これらの原則は、協同組合が一部の資本家によって支配されることなく、組合員全体の利益を追求するためのものでした。

現在の組織への影響



現在の農協(農業協同組合)、生協(生活協同組合)、信用金庫、信用組合は、いずれも戦前の産業組合をルーツとしています。産業組合法は、これらの組織の設立と発展に大きな影響を与え、現在の協同組合運動の基盤を築きました。

廃止とその後



産業組合法は、1948年(昭和23年)に消費生活協同組合法の施行に伴い廃止されました。しかし、消費生活協同組合法第109条により、産業組合法を準用する規定については、なお効力を有するとされました。これにより、一部の法律においては、産業組合法の規定が現在でも適用されることになっています。

具体的には、以下の法律において産業組合法の規定が準用されていました。

蚕糸業組合法(昭和6年法律第24号)第26条
農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)第20条第1項及び第3項並びに第24条
海外移住組合法(昭和2年法律第25号)第14条

しかし、これらのうち、蚕糸業組合法と海外移住組合法はすでに廃止されており(廃止の際の経過措置として産業組合法を準用する規定が適用されています)、農村負債整理組合もほとんど実態がなくなっているため、産業組合法の規定が実際に適用されるケースはほとんどなくなっています。

まとめ



産業組合法は、日本における協同組合運動の原点となる法律であり、中小零細企業の救済と相互扶助の精神を具現化したものでした。この法律が制定されたことで、現在の協同組合組織の基礎が築かれたと言えるでしょう。


外部リンク



産業組合法要義 平田東助 1900年

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