甦える大地

『甦える大地』は、1971年に公開された石原プロモーション製作の映画で、監督は中村登が務めました。本作は、木本正次の小説『砂の十字架』を原作とし、鹿島を一大工業地帯へと変貌させようとする男たちの情熱と葛藤を描いています。

物語は、幕末に霞ヶ浦の洪水を鹿島灘へ放流しようとした郷士、中館広之助の悲劇的な試みから始まります。この失敗は、現代における鹿島開発の物語へと繋がっていきます。映画は、鹿島の自然と人々の生活を背景に、巨大開発に挑む男たちの姿を、重厚な人間ドラマとして描き出しています。

主演は石原裕次郎が務め、彼が演じる植松一也は、鹿島開発に情熱を燃やす男です。共演には、司葉子、三國連太郎、浜田光夫など、豪華な俳優陣が名を連ねています。彼らの熱演が、物語に深みを与えています。また、渡哲也が、物語冒頭で重要な役割を果たす中館広之助を演じています。

映画の撮影は、実際に舞台となった神栖市内の国民宿舎「砂丘荘」に50日間滞在して行われました。また、台風のシーンは秋田で風速30ｍという過酷な状況下で収録され、迫力ある映像を生み出しています。特に、冒頭の幕末期の掘割工事のシーンでは、十数分のために工期3週間、当時の費用で1,500万円をかけてセットが組まれました。

音楽は武満徹が担当し、重厚なオーケストラサウンドが、ドラマを盛り上げています。美術は坂口武玄が手掛け、当時の鹿島の風景を忠実に再現しています。

公開当時、興行成績は振るわず、石原プロは多額の負債を抱えることになりました。しかし、石原裕次郎の『迫力ある映画館のスクリーンで見てほしい』という想いから、長らくビデオソフト化されませんでしたが、2013年にDVD化されました。さらに、2018年には『石原裕次郎シアターDVDコレクション第24号』の付録DVDにも収録され、多くの人が鑑賞できる機会が増えました。

2020年12月には、神栖市歴史民俗資料館に、台本、チラシ、ポスター、映画半券、スチル写真などの貴重な資料が市民から寄贈され、映画の歴史的価値を再認識するきっかけとなっています。

本作は、鹿島の歴史と人々の姿を、壮大なスケールで描いた作品であり、今なお多くの人々に感動を与え続けています。

主なキャスト
植松一也: 石原裕次郎
添島美奈子: 司葉子
野田鋭介: 三國連太郎
中館広之助: 渡哲也

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