田中正大 (ホルン奏者)

田中 正大 - 日本のホルン界の巨星

田中正大（たなかまさひろ）は、1939年2月8日に福岡県嘉穂郡二瀬町片島（現在の飯塚市）に生まれました。彼は、日本のホルン奏者として知られ、数多くの音楽団体で活躍しました。特に、NHK交響楽団の首席奏者としての地位を占め、武蔵野音楽大学で教授としても教育に力を注いでいました。

音楽の道への入り口

田中さんは、旧制嘉穂中学校の数学教師である父親と母親の元で育ち、学生時代には嘉穂高校の吹奏楽部でトランペットを担当していました。しかし、彼の運命は変わるきっかけが訪れます。3年生の時に楽器庫で見つけたホルンが、彼の音楽の道を拓くことになるのです。その結果、田中さんはホルンの演奏を学ぶために武蔵野音楽大学に進学しました。在学中、彼は音楽の幅を広げるために多くの経験を積み、自身の技術を磨いていきました。

海外経験とオーケストラでの活躍

1960年秋、田中さんは近衛秀麿指揮のABC交響楽団として、戦後初の日本のオーケストラによるヨーロッパ演奏旅行に参加します。しかし、経済的な問題に直面し、ローマで年を越して帰国することになります。帰国後、1971年には日本フィルハーモニー交響楽団に入団し、翌年に同楽団が分裂して新日本フィルハーモニー交響楽団が設立されると、首席ホルン奏者として新しい組織に移籍します。彼は、特に小澤征爾指揮の定期演奏会でのモーツァルトのホルン協奏曲第3番の演奏で注目を集めました。

1973年にはNHK交響楽団に入団し、後に首席奏者としての地位を確立し、東京八重奏団のメンバーとしても室内楽に貢献しました。また、田中さんは1976年から1977年にかけてウィーンに留学し、R・フロイントの下でさらなる技術向上を図ります。

教育者としての貢献

音楽活動の傍ら、田中正大は教育の現場でも積極的に取り組んでいました。1966年から1976年まで桐朋学園大学、1970年からは武蔵野音楽大学で教鞭をとり、後に京都市立芸術大学で助教授も務めました。彼の指導を受けた多くの音楽家たちが、活動の場で成果を上げていることは、田中さんの教育者としての大きな影響を示しています。

著作と翻訳

音楽理論や実技に関する知識を広めるため、田中さんは翻訳書や共著としても数多くの作品を残しました。代表的な著作には、『写真で学ぶフレンチホルンのアンブシュア』（1974年）や、監修・共訳を務めた『金管楽器を吹く人のために』（1980年）があります。これらの書籍は、彼の豊富な経験に基づく一流の情報源となり、多くの音楽家たちに影響を与え続けています。

最後に

田中正大は、2009年4月16日にその生涯を閉じました。彼が残した音楽的遺産と教育の業績は、日本のホルン界において永遠の存在として根付いています。今日でも、彼の影響を受けた多くの音楽家たちが、彼の教えを胸に、音楽の道を歩んでいます。

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