田中正玄

田中正玄：会津藩を支えた名家老

田中正玄（たなか まさはる）は、江戸時代初期の会津藩を支えた中心人物です。保科正之の家老として、藩政を主導し、その絶大な信頼を得ました。彼は、会津藩の財政基盤を確立し、その後の発展に大きく貢献しました。

生涯

慶長18年（1613年）に佐渡で生まれた田中正玄は、幼少の頃から学問に励み、その才能を発揮しました。寛永4年（1627年）に保科正光に仕え、その養子である保科正之（後の会津藩主）の側近として仕えました。正之が藩主となると、正玄は家老として藩政を任され、その手腕を発揮します。

正玄は、寛文6年（1666年）に会津藩の大老に就任。正之が幕府の要職を兼務し、領地を離れることが多かったため、正玄が実質的な藩政の責任者として会津藩を運営しました。彼は、質素倹約を旨とし、藩の財政を立て直すために様々な政策を実施しました。また、領民の生活を向上させるために、農業や産業の振興にも力を注ぎました。

正玄の功績は、同時代の人々からも高く評価されました。大老・土井利勝は、正玄を「天下の名家老」と称え、儒者の山崎闇斎もその人柄を高く評価しました。

寛文12年（1672年）に60歳で亡くなりました。正玄には実子がなかったため、甥の玄忠が家督を継ぎました。正玄の家系は、その後も会津藩の重臣として活躍し、幕末の会津戦争でも重要な役割を果たしました。

田中正玄家訓十三条

正玄は、子孫のために「田中正玄家訓十三条」を定めました。この家訓は、正玄の思想や倫理観を示すものであり、会津藩士の行動規範として尊重されました。

家訓の内容

一、敬神尊祖之事
二、目上の人に無礼な振る舞いするな
三、嘘ごとを言うう事ならぬ
四、卑怯な振る舞いするな
五、弱いものをいじめるな
六、ならぬことはならぬ
七、人に頼らず己に頼れ
八、衣食住は己の力に合わせよ
九、人に媚びへつらうな
十、人を非難する前に先ず己を省みよ
十一、人に陥しいれられても人を陥し入れるな
十二、恩人には何かを報いることを忘れるな
十三、人に疑われるような事をするな

墓所

正玄の墓は、会津若松市の見祢山にあります。墓所は土津神社より200メートルほど離れた場所にあり、現在も手厚く供養されています。

人物

正玄は、非常に実直で誠実な人物でした。彼は、常に領民のことを考え、私利私欲を追求することはありませんでした。また、彼は学問を好み、多くの書物を読みました。その知識と経験に基づいて、藩政を適切に運営し、会津藩の発展に大きく貢献しました。

正玄の死後、その功績を讃えて、正五位が贈られました。彼は、会津藩にとってかけがえのない人物であり、その功績は永遠に語り継がれることでしょう。

まとめ

田中正玄は、江戸時代初期の会津藩を支えた名家老です。保科正之の家老として藩政を主導し、会津藩の財政基盤を確立しました。彼の功績は、同時代の人々からも高く評価され、今もなお敬愛されています。

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