田中浩 (政治学者)

田中 浩（たなか ひろし）について

田中浩は、1926年に佐賀県で生まれた日本の政治学者であり、一橋大学の名誉教授である。彼は法学博士の学位を名古屋大学から取得しており、主にヨーロッパの政治思想史を専門とする。その研究テーマにはトマス・ホッブズやカール・シュミット、長谷川如是閑の思想が含まれており、特に現代政治史や福祉国家論に関する業績も残している。

学歴と経歴

田中は旧制佐賀中学校から陸軍経理学校予科、さらに旧制佐賀高等学校文科乙類を経て、東京文理科大学の哲学科を卒業した。その後、東京教育大学にて助手および助教授を経て教授に就任。その後、同大学が閉学することに伴い、静岡大学人文学部教授に転任し、1983年から1990年まで一橋大学社会学部で教授として活躍した。
彼は定年退官した後も、大東文化大学法学部教授や立命館大学、聖学院大学の客員教授を歴任し、特に聖学院大学大学院アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科では教授として教育に尽力した。

研究と論争

一橋大学に着任する際には、水田洋による書評が掲載され、田中の研究に対する批判が引き起こした。この書評は当時、関係者の間で物議を醸し、田中の着任を妨げようとする意図が含まれていると考えられたものの、同時にその内容が的確で説得力を持つものであるとの評価も得た。このような論争は田中の今後の研究活動にも影響を与えた。

彼は1986年に「長谷川如是閑と政教社の人びと―日本におけるリベラリズムの一潮流」という著作で朝日学術奨励金を受賞。その後も多くの研究者を指導し、彼の門下生には著名な教授が多く存在する。

主な著書

田中の著作は多岐にわたり、特にホッブズに関する研究に力を入れている。代表的な著書には、

• - 『ホッブズ研究序説―近代国家論の生誕』（1982年）
• - 『長谷川如是閑研究序説』（1989年）
• - 『国家と個人―市民革命から現代まで』（1990年／新品版2008年）
• - 『カール・シュミット―魔性の政治学』（1992年）
• - 『近代日本と自由主義』（1993年）

などがあり、彼の研究成果は日本の政治学界において広く認識されている。

また、田中は編著や共著にも多く貢献しており、政治学の基礎や思想を学ぶ上で重要な書籍を数多く出版している。

翻訳活動

彼は翻訳家としても活躍しており、特にカール・シュミットやトマス・ホッブズなどの西洋思想家の著作を日本語に翻訳している。これらの翻訳は西洋政治思想の理解を深めるための貴重な資料となっている。

影響力

田中浩の研究は、ヨーロッパの政治思想を通じて日本の政治科学の発展に寄与しており、彼の業績は日本におけるリベラリズムや福祉国家に関する重要な論考として評価されている。彼の学問的な貢献は今日の政治学研究においてもなお、重要な役割を果たしている。

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