田中秀穂

田中秀穂について

田中秀穂（たなか ひでほ、1919年5月17日 - ）は、日本の外交官です。北海道札幌市出身で、旧制東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業後、外務省に入省しました。彼は、外務省中近東アフリカ局長や在フィリピン特命全権大使など、数々の要職を歴任し、日本の外交に貢献しました。

人物

田中は、北海道庁立札幌第二中学校（現在の北海道札幌西高等学校）を経て、1943年に旧制東京商科大学を卒業し、外務省に入省しました。

1974年には、パレスチナゲリラと日本赤軍の混成部隊が、シンガポール沖の製油所を爆破する事件が発生しました。さらにその6日後には、パレスチナ解放人民戦線が在クウェート日本大使館を占拠し、大使らを人質にとるという事件も発生しました（シンガポール・クウェート事件）。この事件で、当時中近東アフリカ局長であった田中は、事態の収拾にあたりました。人質解放後、犯人グループが南イエメンへ脱出する際には、人質の身代わりとして特別機に同乗し、その勇敢な行動は注目を集めました。

その後、田中は在ニュージーランド、ナイジェリア、フィリピンの各特命全権大使を歴任し、退官後は東海興業社の常任顧問やASEAN協会の理事を務めました。

経歴

1943年：旧制東京商科大学（一橋大学の前身）卒業、外務省入省
経済安定本部総裁官房連絡部経済安定事務官
在インド日本国大使館二等書記官
在連合王国日本国大使館二等書記官
在連合王国日本国大使館一等書記官
外務省情報文化局国内広報課長
1963年2月：在ナイジェリア日本国大使館一等書記官
1964年8月：ヒューストン領事
1965年6月：ヒューストン総領事
1968年12月：アジア経済協力閣僚会議日本政府代表顧問
1970年5月：外務省中近東アフリカ局外務参事官
1972年：外務省中近東アフリカ局長
1974年6月：外務大臣官房審議官
1974年7月：在ニュージーランド特命全権大使
1974年10月：兼在トンガ
1974年11月：兼在西サモア
1977年5月：在ナイジェリア特命全権大使
1979年10月：在フィリピン特命全権大使
1982年11月：退官

著作

田中は、外交官としての経験を活かし、以下の著書や論文を発表しています。

著書

『テキサス風土記』（アルプス社、1969年）
『日本大使館占拠さる』（講談社、1984年9月）

論文等

「鎮圧されたスーダン・クーデター--アラブ世界の動乱」（世界週報52(33)、1971年8月17日）
「アフリカでの争覇戦--ソ連しのぐ中共の熱意」（世界週報52(4)、1971年1月26日）
「大使館の一日」（時の法令（通号362）、1960年9月3日）

訳書

ジョン・キムチ著『パレスチナ現代史』（時事通信社、1974年）

脚注

1993年4月、勲二等旭日重光章を受章。

外部リンク

* 中日ニュース No.1048 1「人質全員開放」 - シンガポール・クウェート事件当時の映像。田中局長のインタビューを含む。



田中秀穂は、その外交官としてのキャリアを通じて、数々の重要な局面で活躍し、日本の外交に大きく貢献した人物として、その功績は長く語り継がれるでしょう。

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