田中章弘

田中章弘（たなか あきひろ）は、1954年9月3日に大阪府大阪市で生まれた日本のベーシストです。現在はHalftone Musicに所属しています。

彼の音楽キャリアは、学生時代にベースを始めたことから本格的にスタートしました。中学3年生の時、北垣雅則とともに結成したレッド・ツェッペリンのコピーバンド「ハッシュ」で、ラジオ番組『MBSヤングタウン』（毎日放送）に出演。この演奏が審査員から高い評価を受けたことが、プロのベーシストとしての道を歩む大きな契機となりました。

その後、はっぴいえんどとの共演などを経験し、1975年にはギタリストの鈴木茂が結成したバンド「ハックルバック」への参加を機に上京。これにより、田中氏は日本の音楽シーンの第一線で活躍の場を広げていきます。

ハックルバック解散後も、田中氏はベーシストとして精力的に活動を続けました。日本の音楽史に名を刻むバンド「ティン・パン・アレー」の活動に参加したほか、細野晴臣、大瀧詠一、山下達郎、井上陽水、高中正義、寺尾聰、伊藤銀次、荒井由実（松任谷由実）、ブレッド＆バターなど、数えきれないほどの著名アーティストたちのレコーディングやツアーに参加しました。これらの活動と並行して、スタジオミュージシャンとしても多数の作品に関わり、その確かな技術と表現力で多くの楽曲に貢献しました。ツアーやレコーディングで共演したアーティストには、西岡恭蔵、加川良、金森幸介、大貫妙子、EPO、南壽あさ子、伊勢賢治、小坂忠らも名を連ね、その活動範囲の広さを示しています。

特に彼のキャリアにおいて特筆すべきは、1983年の「REINCARNATIONツアー」から参加した松任谷由実のライブバックバンドでの長期にわたる活動です。田中氏はその後、約20年間にわたり数百本にも及ぶ松任谷由実のコンサートでベーシストを務め、そのダイナミックなライブサウンドを支え続けました。

松任谷由実のサポートを離れた後も、彼は音楽への情熱を失うことなく活動を続けています。かつてハックルバックで苦楽を共にした鈴木茂や、シンガーソングライターの小坂忠など、旧知の仲間たちと共にライブやレコーディングを行っています。

近年では、人気声優およびアーティストである水樹奈々のライブバックバンド「cherry boys」のメンバーとしても活躍しており、ファンの間では親しみを込めて「たーさん」の愛称で呼ばれています。

田中章弘氏は、学生時代の「ハッシュ」に始まり、「ダッチャとハッシュ」「オイルフットブラザース」「THIS」「ハックルバック」「ティン・パン・アレー」「バイバイ・セッション・バンド」（りりィのバックバンド）、「cherry boys」など、様々なバンドやプロジェクトに参加してきました。約半世紀にわたる長いキャリアの中で、彼は日本のポピュラー音楽の多くの名場面をベーシストとして支え、その確かな演奏力と存在感は、今なお多くの音楽ファンに影響を与えています。

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