田代廣孝

田代廣孝は、1959年生まれの日本の映画監督、テレビディレクターです。宮城県仙台市出身で、仙台市立五橋中学校、東北学院榴ケ岡高等学校、日本大学芸術学部を卒業後、イギリスに留学しました。帰国後は、映画監督の新藤兼人の助監督としてキャリアをスタートさせ、映画制作の現場で経験を積みました。その一方で、テレビ番組の演出にも携わり、バラエティ、ドキュメンタリー、衛星放送、ビデオ作品など、多岐にわたるジャンルでその才能を発揮しています。

田代監督は、漫画家の荒木飛呂彦、フリーライターの永沢光雄とは、東北学院榴ケ岡高等学校の同級生という間柄です。

1992年には、自ら製作・脚本も手がけた映画『あふれる熱い涙』で映画監督としてデビューしました。この作品は、岩手県に農村花嫁としてやってきたフィリピン人女性の姿を描いたもので、国内外の映画祭で数々の賞を受賞しました。特に、フランスのオルレアン映画祭では銀賞、おおさか映画祭では新人監督賞、全国映連でも新人監督賞を受賞するなど、高い評価を受けました。また、ベルリン映画祭、ロンドン国際映画祭、サンフランシスコ国際映画祭など、数多くの国際映画祭にも正式招待され、その国際的な視点と繊細な人間描写が注目を集めました。

1996年には、脚本『Mr.Pのダンシングスシバー』が、NHK・サンダンスインスチテュート主催の「シネマ100/サンダンス国際賞」日本部門で最優秀脚本賞を受賞し、映画化が決定しました。この作品は、ベトナム帰還兵が寿司職人として生きる苦悩と、妻との愛を描いたもので、サンダンス監督研修（ジューンラボ）に参加し、ロバート・レッドフォードをはじめとする著名な映画関係者たちと、作品の制作について意見を交わしました。1997年にアメリカでクランクインし、アメリカ国内とベトナムでロケーション撮影が行われました。当時の日米合作映画では、監督以外はすべてアメリカ人の俳優とスタッフで構成されており、また、ベトナム戦争終結後、アメリカ人クルーがベトナムでロケを行った初めての作品としても、特筆されるべきものです。

1998年には、映画『Mr.Pのダンシングスシバー』として公開され、サンダンス映画祭やシアトル国際映画祭など、数々の映画祭で絶賛されました。2000年には、「朝日ベストテン映画祭」で日本映画第1位を受賞するなど、高い評価を得ています。

田代監督の作品は、国際的な視点から社会を鋭く切り取り、繊細かつリアルな人間描写、独特のフレーミングと濃厚な色彩感覚が特徴と評されています。寡作ながら、その質の高さから、海外でも通用する数少ない監督として、映画マニアの間でも知られています。次回作は南米を舞台にした作品になる予定です。

また、共同テレビのディレクターとして、数多くのテレビ番組の演出も手がけています。主な作品には、『NONFIX 〜兵士が語ったこと』、『NONFIX 〜しりあがり寿　死を想う』、『恋ノウタ』、『課外授業－ようこそ先輩』などがあります。これらの作品でも、田代監督の独特な視点と映像表現が活かされており、高い評価を受けています。



主要作品リスト

映画

われに撃つ用意あり (1990年 助監督、若松孝二・監督)
あふれる熱い涙 （1992年 製作・脚本・監督）
Mr.Pのダンシングスシバー （1998年 脚本・監督）
莎木　Shenmue The Movie (2001年 スタッフ参加)

ビデオ

テラービジョン in　エロヴァイラ (1990年 監督)
淫口　(2003年 監督)

テレビ

NONFIX（演出、フジテレビ・共同テレビ）
奇跡の生還者 （演出、フジテレビ・共同テレビ）
おはよう茨城　（演出、フジテレビ・共同テレビ）
恋ノウタ （演出、フジテレビ）
課外授業－ようこそ先輩 （演出、NHK)
スーパーJチャンネル〜Jのこだわり （演出、テレビ朝日)

ゲームソフト
シェンムー/海外版 （2000年 演出、セガ）
シェンムーII/海外版 （2002年 演出、セガ）

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