田原市ぐるりんバス

田原市ぐるりんバスは、愛知県田原市内を運行するコミュニティバスです。市民の日常的な移動手段を提供するとともに、地域内の主要な鉄道路線である豊橋鉄道渥美線や、既存のバス路線である豊鉄バス伊良湖本線・伊良湖支線といった公共交通網を補う目的で運行されています。

運行は田原町だった時代に始まり、その後の赤羽根町、渥美町との合併を経て、旧両町のエリアへと運行範囲が拡大されました。事業の主体は田原市ですが、実際の運行は複数の民間のバス・タクシー事業者に委託されています。

運行担当事業者

ぐるりんバス全線：豊鉄ミデイ
ぐるりんミニバス表浜線：渥美交通
ぐるりんミニバス中山線：豊鉄タクシー

運行形態と運賃

ぐるりんバスは、年末年始を含め毎日運行されています。ただし、悪天候などにより、やむを得ず臨時運休となる場合もあります。

運賃体系は、路線によって異なります。

ぐるりんバス市街地線：1乗車につき100円
ぐるりんバス童浦線・ぐるりんバスサンテパルク線・ぐるりんミニバス全線：1乗車につき200円

なお、小学生以下のお子様は、どの路線でも無料で利用できます。また、田原市が発行する「田原市ぐるりんバス運転免許証自主返納者無料乗車券」を提示した場合も運賃が無料となります。

障害のある方（身体障害者、知的障害者、精神障害者）およびその介護人1名までは、手帳（身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳）を提示することで運賃が半額になります。この割引は現金での支払いにのみ適用されます。

公共交通系ICカード（manaca、TOICAなど）は利用できませんが、2024年 4月1日からはPayPayによるQRコード決済が利用可能となりました。

歴史

田原市ぐるりんバスの運行は、2001年7月から9月にかけて豊橋鉄道への委託による試行運行から始まりました。翌2002年7月21日に本格運行を開始し、当初は渥美交通が運行を受託し、西部線、童浦線、中央線、表浜線の4路線でスタートしました。

その後、2003年 7月1日には運行委託事業者が豊鉄ミディバスに変更され、大久保線、西浦循環線が新設されて6路線体制となりました。同年10月12日には赤羽根線が追加され、合計7路線に拡大。2004年には委託事業者が豊鉄ミデイとなり、同年7月21日には表浜線から高松線が分割されるなど、路線の拡充が進みました。

2007年 7月1日には中山線が新設され9路線となりましたが、2009年 4月1日には西浦循環線の運行が休止されました。2014年 6月に策定された「第2次田原市地域公共交通戦略計画」に基づき、路線の競合や運賃体系の課題解消を目指した大規模な再編が2015年 10月1日に実施され、名称が「田原市コミュニティバス」に変更されました。

2017年 4月1日には、再び名称が「田原市ぐるりんバス」に戻され、市街地バス東線・西線が「ぐるりんバス市街地東線・西線」に、地域乗合タクシーが「ぐるりんミニバス」に改称されるとともに、一部運行内容が見直されました。その後も、2018年 10月1日の市街地線の統合や、2019年 10月1日のサンテパルク線新設（野田線からの変更）、高松線・八王子線の廃止、2022年 10月1日の中山線のルート変更など、市民の利便性向上を目指した運行内容の変更が続けられています。

運行路線

現在、田原市ぐるりんバスは以下の路線を運行しています。

ぐるりんバス
市街地線（田原駅を中心に市内中心部を循環）
童浦線（渥美病院、田原駅方面と童浦地区を結ぶ）
サンテパルク線（渥美病院、田原駅方面とサンテパルク田原を結ぶ）
ぐるりんミニバス
表浜線（渥美病院、田原駅方面と表浜地区、東部中学校方面を結ぶ）
中山線（渥美支所方面と中山地区を結ぶ。一部便はライフランド経由）

使用車両

ぐるりんバスの各路線では、主に豊鉄ミディ所属の小型バス（日野ポンチョ）や中型バス（日野レインボーHR、いすゞエルガミオ）が使用されています。一方、ぐるりんミニバスの各路線では、9人乗りのワゴン車両が運行を担っています。

特に、ぐるりんバスで使用される中型バスの一部には、田原市の特色を活かしたデザインのラッピングが施されています。

花バス（日野レインボーHR）：田原市産の美しい花々をデザイン。主に市街地線を運行。
海バス（日野ポンチョ）：サーフィンを楽しむ様子を描いたデザイン。主に市街地線を運行。
※花バス・海バスは2018年12月導入。
農業号（いすゞエルガミオ）：田原市自慢の農産物や畜産物、ご当地キャラクター「キャベゾウ」をデザイン。主にサンテパルク線を運行。
※2021年11月導入。
臨海号（いすゞエルガミオ）：三河湾沿岸に立つ風車やソーラーパネル、「キャベゾウ」をデザイン。主に童浦線を運行。
* ※2022年12月導入。

これらの個性豊かなラッピングバスは、田原市の街を彩りながら市民や観光客の移動を支えています。

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