田口事件

田口事件の概要

田口事件（たぐちじけん）は、1952年2月3日に長野県南佐久郡田口村（現在の佐久市）で発生した重要な事件です。この事件は、日本共産党員による警察官への暴行と、その際に拳銃や警察手帳が奪われたという内容で、当時の社会に大きな衝撃を与えました。

事件の背景

事件が起こる前の数日間、田口村ではあまり見かけない人物たちの出入りが確認されており、秘密裏に会合を開いているとの情報が寄せられていました。このため、地域の警察は村の治安に対する警戒を強めていました。田口村は日本共産党員が比較的多く住んでいた地域であったため、警察の動向が特に注目されていました。

事件の発生

1952年2月3日、午後10時30分ごろ、警察官が無灯火の自転車に乗った男に職務質問を行った際、周囲から数人の男たちが現れ、その男を助ける形で警察官に暴行を加えました。この暴行の結果、現行犯として1人が逮捕されることとなります。しかし、事件はこれだけに留まりませんでした。

その約30分後、再び別の2人の警察官が村内の清川区を巡回していると、数人の通行人に職務質問を試みましたが、突然鈍器のようなもので襲われ、重傷を負いました。暴行を受けた者たちは、おおよそ全治1ヶ月の怪我を負い、その中にはみけんに貫通するほどの裂傷を受けた者も含まれていました。さらに、所持していた実弾6発入りの拳銃と警察手帳も盗まれるという被害に遭っています。

影響と対応

この事件を受けて、県警は重大事案として捉え、南佐久警察署内に特別捜査本部を設置しました。そして、22名の警察官を派遣し、周辺の警察署からも応援が集められることとなりました。事件直後には、日本共産党に関与したとして8名が逮捕されていますが、そのうち1名は嫌疑不十分という理由で釈放されています。この事態は、マスメディアにおいて「第2の白鳥事件」と呼ばれ、多くの注目を集めました。

結論

田口事件は、日本の警察と政治的活動家との対立の一例として位置づけられており、その後の警察活動や地域社会の治安に多大な影響を与えました。この事件は、特に警察の職務執行中に発生した暴行事件として、現在でも語り継がれています。

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