田口啓作

田口啓作

田口啓作（たぐち けいさく、1905年6月7日 - 1991年6月10日）は、日本の農学者で、作物育種学を専門としていました。東京府（現在の東京都）に生まれ、北海道大学で農学を修め、長年にわたり研究と教育に尽力しました。特に、馬鈴薯（じゃがいも）の品種改良研究において、卓越した業績を残し、日本の農業発展に大きく貢献しました。

学歴と職歴

1933年に北海道帝国大学（現在の北海道大学）農学部を卒業後、同大学の助手として研究者の道を歩み始めました。その後、宮城農学校助教授、農林水産省東北農業試験場主任研究員を経て、1957年に北海道大学農学部教授に就任しました。北海道大学では、学生部長や農学部附属農場長も務め、教育・研究両面で手腕を発揮しました。1969年に北海道大学を定年退官し、同大学の名誉教授となりました。その後、北海道拓殖短期大学に移り、教授、そして1975年には学長に就任。1981年に同大学を退職するまで、後進の育成に力を注ぎました。

研究業績

田口啓作の研究の中心は、作物育種学、特に馬鈴薯の品種改良でした。1957年には、北海道大学から農学博士の学位を授与されています。学位論文は「馬鈴薯品種の交雑育種に関する研究」であり、この研究成果は、その後の馬鈴薯育種研究に大きな影響を与えました。また、水田裏作や牧草に関する研究も行い、その成果は多くの論文として発表されています。

受賞歴

田口啓作の業績は、数々の賞によって称えられています。主な受賞歴として、1953年の河北新報社文化賞、1956年の農林大臣賞、1959年の育種学会賞、1968年の北海道澱粉工業協会賞、そして1976年の勲三等旭日中綬章が挙げられます。これらの受賞は、田口啓作の学術的貢献と社会への貢献を物語っています。

主要論文

田口啓作は、多数の学術論文を発表しており、その一部を以下に示します。

『東北地方に於ける水田裏作と裏作馬鈴薯に就て』東北農業 4巻2号 1950年
『2,4-D処理が馬鈴薯品種の結顆に及ぼす影響』分担執筆 東北農業試験場研究報告 4号 1955年
『北海道における主要牧草の播種時期に関する研究』分担執筆 北海道大学農学部附属農場報告 12号 1964年
『ばれいしょの生理生態学的研究 : 第２報　乾物生産について』分担執筆 北海道大学農学部附属農場報告 17号 1969年

人物

田口啓作は、研究者としてだけでなく教育者としても優れており、多くの学生や研究者を育成しました。その誠実で温厚な人柄は、多くの人々に慕われました。1991年6月10日、肺梗塞により86歳で逝去しました。

参考文献

* 『北海道人物・人材情報リスト　2004　か-と』（日外アソシエーツ編集・発行, 2004年）

田口啓作の生涯は、日本の農業、特に作物育種学の発展に大きく貢献した、偉大な農学者の模範として、これからも語り継がれるでしょう。

もう一度検索