田口益充

田口益充：HRCワークスライダーからオフロードレーサーへ

1964年生まれ、奈良県出身の田口益充氏は、日本のオートバイレース界において重要な足跡を残したレーサーの一人です。華々しい活躍の裏には、努力と挑戦に満ちたキャリアがありました。

1985年、国際B級に昇格すると、全日本ロードレース選手権250ccクラスで4位という好成績を収めます。翌年には国際A級に昇格し、TT-F3クラスにNS250で参戦。安定した成績を残しランキング6位を獲得、その実力はホンダのHRC（ホンダ・レーシング・コーポレーション）の目に留まり、ワークスライダーとしての契約へと繋がります。

1987年、念願のHRCワークスライダーとなった田口氏は、その実力を遺憾なく発揮します。3勝を挙げ、前年度チャンピオンだった山本陽一選手を凌ぎ、TT-F3クラスのタイトルを獲得。RVF400の3連覇に貢献するなど、チームにとって大きな戦力となりました。翌1988年もTT-F3クラスでランキング2位を獲得する一方、250ccクラスにも参戦し2勝を挙げるなど、高いレベルで活躍を続けました。1989年からは250ccクラスに専念し、2年連続でランキング3位という輝かしい成績を残しています。

1992年にはプライベーターとしてTT-F1クラスに参戦。そして1993年、カワサキから革新的な250ccレーサー「X-09」の開発ライダーに抜擢されます。しかし、期待のプロジェクトは6月の鈴鹿200kmレースを前に突如中止。9位でフィニッシュしたこのレースが、田口氏のロードレースキャリアの終焉となりました。

ロードレースからの引退後も、モータースポーツへの情熱は消えることはありませんでした。趣味としてモトクロスなどのオフロードレースに参戦。現在は埼玉県東松山市で有限会社田口設備を経営しながら、オフロードエンデューロレース（JNCCなど）に積極的に参加し、現役時代と変わらぬ熱い走りを続けています。

ロードレース世界選手権日本GPにも、1987年から1991年までスポット参戦。1991年には4位という好成績を残し、国際的な舞台でもその実力を示しました。

田口益充氏のキャリアは、単なるレーサーとしての成功物語だけではありません。HRCワークスライダーとしての栄光、新たな挑戦を求めたカワサキでの開発ライダーとしての経験、そして現在も続くオフロードレースへの情熱。常に挑戦を続け、モータースポーツの世界に多大な貢献を果たしてきた彼の軌跡は、多くのモータースポーツファンに感動と勇気を与え続けています。彼の名は、日本のモーターサイクル史にしっかりと刻まれています。

主な戦績
1987年：全日本ロードレース選手権 TT-F3クラス チャンピオン
1988年：全日本ロードレース選手権 TT-F3クラス ランキング2位
1989年、1990年：全日本ロードレース選手権 250ccクラス ランキング3位
1991年：ロードレース世界選手権 日本GP 4位

その他
現在は埼玉県東松山市で有限会社田口設備を経営
プライベートでオフロードエンデューロレース（JNCC等）に参戦

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