田崎広助

田崎広助の生涯と作品

田崎広助（たさき ひろすけ、1898年9月1日 - 1984年1月28日）は、福岡県に生まれた著名な洋画家です。本名は田﨑廣次で、彼の画家としての道は幼少期の経験によって培われました。

幼少期と影響

広助は福岡県八女郡北山村（現在の八女市立花町）で育ちました。彼の画才は、3歳の時に母が持参した高価な桐たんすに模様を刻んだことから始まります。この出来事が彼の人生最初の作品となり、母を喜ばせたい一心での行動だったが、その結果、母の驚愕の表情から絵を描くことの難しさを理解することになります。広助は、母から受け継いだという画の本能と共に、故郷の壮大な自然に影響を受けて育ちました。

知識への探求

彼の名前「広助」は、母方の姓に由来すると自身で語っています。中学時代には「田崎草雲」と名乗りましたが、同名の南画家の存在を知り、少し落胆したエピソードもあります。それでも、親族内での「草雲の生まれ変わり」といった話に励まされる日々を送りました。

1905年には八女中学校に進学し、その後の生活は彼にとって試練でした。自宅から学校までの距離を毎日通い続けるうちに彼の心身は鍛えられ、後年の創作活動にも活かされます。この時期、彼の絵の才能を見込んだ教員から美術学校への進学が勧められましたが、父の反対によって断念を余儀なくされました。

お仕事と絵画活動

1916年に八女中学を卒業し、福岡師範学校に進学します。父の期待に応えるため教師を目指すも、やがて彼は独自に画家としての道を歩むことを決心します。彼は独学で学び、仲間の開催した洋画展で早々に自作を販売する機会を得ます。この成功が一層の努力を促し、彼はアートの道を進むことを選びました。

1920年春には高等女学校の美術教員として採用予定でしたが、自ら東京行きのチケットを購入し、父と喧嘩別れとなります。この選択は、彼自身の人生の新たな局面となりました。

芸術の進化と活動

1923年の関東大震災の際には、教鞭を取っていた本郷地区で震災に遭遇します。この経験から間もなく京都へ移り住むこととなります。彼の作品は特に日本の美しい風景、特に阿蘇山を描いたものが多く、「初夏の阿蘇山」に代表される作品が評価されています。

その後、田崎は多くの受賞歴を重ね、日本芸術院賞や文化勲章を受章し、様々な美術館に彼の作品が所蔵されます。1974年にはブラジル政府からの名誉も授かり、生涯にわたり日本の絵画界に貢献しました。

遺産と影響

田崎広助は1984年に亡くなるまで、日展の審査員や顧問、さらには広稜会の結成といった活動を通じて後進の育成にも尽くしました。1986年には軽井沢に田崎美術館が開館され、2017年には故郷に田崎廣助美術館が設立されました。彼の作品とその足跡は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索