田村憲造

田村憲造の生涯と業績

田村憲造（たむら けんぞう）は1889年2月18日、愛知県渥美郡二川村の米穀商の家に生まれました。彼の学問の道は早くから開かれ、地元の小学校を卒業後、上京して獨逸学協会学校を経て東京帝国大学医科大学に進学しました。大学では特待生として学び、優れた成果を上げんと奮闘しましたが、一時的に卒業が遅れることになりました。

田村は1915年に東京帝国大学医科大学を優等生として卒業し、その後大学院に進学。この頃から彼の研究の基盤が築かれ始めました。1917年には同大学の助手となり、1920年にはアメリカ、フランス、スイスへの留学を経験しました。学問の幅を広げた田村は、1921年には医学博士号を取得し、同年に助教授に就任、1924年からは教授として薬物学第一講座を担当しました。

田村憲造の業績は非常に多岐にわたります。彼はモルヒネの習慣性に関する研究、腎臓の生理、利尿剤の作用機序の研究において多くの成果を上げました。また、樟脳の代謝に関する研究を行い、それを基に強心剤ビタカンファーを創製しました。特に、ジギタリスの有効成分であるジギコリンの発見は、彼の研究の中でも重要な成果として知られています。

田村は医療界への貢献を評価され、1933年には報公賞を受賞、1943年には学士院賞を授与されました。彼の業績は後の研究に大きな影響を与えたといえます。1945年には病気により退官した後も、1947年には名誉教授の称号を授与され、1950年には学士院会員となりました。

私生活では、田村憲造は4男3女の父親でした。彼の長男は薬学者の田村善藏であり、次男は農芸化学者の田村学造でした。この二人は共に学士院賞を受賞し、家族での偉業が歴史に残っています。また、長女の八重は物理学者である小谷正雄と結婚しており、他の家族でも学問の道を歩む者が多く見られました。彼の孫である小谷正博も化学者として活躍しています。

田村憲造は1953年8月19日に肺炎のために亡くなりました。彼の研究は現代の薬理学においても尚、重要な位置を占めており、彼の業績は今日の医学に多大な影響を与え続けています。彼の生涯は、学問への献身と家族の教育を大切にしたものとして、多くの人々に尊敬をもって語り継がれています。

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