田村正一

田村正一：異色の経歴を持つ漫画家、その魅力と軌跡

田村正一は、競馬厩務員から漫画家へと転身した異色の経歴を持つ人物です。兵庫県伊丹市出身の彼は、幼少期から漫画好きであり、漫画家を志していました。また、兄の影響で競馬にも親しみ、1994年のナリタブライアンの活躍をきっかけに競馬ファンとなります。

広告代理店勤務を経て、2007年に園田競馬場の厩務員となります。乗馬経験はなかったものの、求人募集に応募し、新たなキャリアをスタートさせました。厩務員として働きながら、朝の調教後や餌やりの合間に密かに漫画を描き進め、2010年に『週刊ヤングジャンプ』で読み切り作品「ユメコン」が掲載され、漫画家デビューを果たします。

その後も赤塚賞で準入選するなど、才能を発揮しますが、連載作品にはなかなか繋がりませんでした。そんな中、編集者から「厩務員を題材に描いてみたら」というアドバイスを受け、自身の経験を活かすことを決意します。厩務員として馬と接する中で、コースで寝始める馬、餌を求めて前足をかく馬、不機嫌になると人を振り落とそうとする馬など、個性豊かな馬たちの姿は、漫画の格好の題材となりました。

2015年、『ヤングアニマルDensi』で「サラブライフ」の連載を開始。ペンネームを、当時園田競馬場で活躍していた騎手たちの名前から「田村正一」に改めます。競馬場関係者には漫画家であることを秘密にしていましたが、「サラブライフ」の舞台が園田競馬場であったことから、出版社への問い合わせを通じて活動が知られることとなります。これを機に、2017年からは園田・姫路競馬公式サイトで「うまのしごと」を連載。スポーツ紙や競馬雑誌からの依頼も増え、漫画家としての活動が本格化していきます。

漫画の仕事が増えたことから、2020年に厩務員の仕事を辞め、漫画家として独立。競馬の世界を舞台にした作品を中心に、独自の視点とユーモアで読者を魅了しています。

近年では、ポーカープレイヤーとしても活動しており、世界的なポーカーイベントであるWSOP（ワールドシリーズオブポーカー）のメインイベントで、2023年に333位、2024年には900位に入賞するなど、その実力を発揮しています。

主な作品

連載
サラブライフ（ヤングアニマルDensi）- 単行本化にあたって「サラブレッドと暮らしています。」に改題。
うまのしごと（園田・姫路競馬公式サイト）
けいばざんまい（ギャンブル法典）
書籍
サラブレッドと暮らしています。（白泉社・2016年）
海外ポーカーふたり旅（電子版既刊3巻）
おっさん・ネェちゃんのG1予想（電子版既刊1巻）

田村正一は、競馬への愛情と人間観察眼を活かした作品で、多くのファンを魅了し続けています。今後の活躍からも目が離せません。

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