田村秀治

田村秀治の生涯と業績

田村秀治（たむら ひでじ、1904年 - 1988年）は、日本の外交官であり、特にアラブ諸国との友好関係の構築に力を注いだことで知られています。彼の外交活動は、戦後日本とアラブの関係の発展に寄与しました。

生い立ち

田村は福井県大飯郡高浜村（現・高浜町）の和田に生まれました。旧制小浜中学校を卒業した後、1927年に大阪外国語学校を修了。その後、外務省の留学生試験を通過し、エジプトへ派遣され、カイロ大学でアラビア語を学びました。

アラブ諸国での外交活動

1930年4月には、アレキサンドリアの総領事館で勤務を開始し、現地でギリシャ人の女性と結婚しました。エジプトにおける生活を通じて、田村はこの国の文化や環境を深く理解し、現地の人々との強い絆を築くことを目指しました。このような彼の姿勢は、日本とアラブ諸国との友好関係の樹立に大きく貢献しました。

第二次世界大戦後、1952年に再びエジプトへ赴任した田村。彼は、日本が戦争を経て独立を回復したことを背景に、アラブ諸国との交流を推進しました。在任中には、織物の差別関税の撤廃や、日本公使公邸の備品返還の実現に尽力し、さらにはイラン、シリア、レバノンとの国交樹立を成し遂げました。特に、1954年にはシリアに公使館を設立しました。

1958年にはエジプトとシリアがアラブ連合共和国を結成すると、田村はダマスカス総領事に就任しましたが、合邦が崩壊する前にシリアを離任することになります。

その後1960年には、新たに設立されたサウジアラビア大使館で参事官、代理大使を務め、1963年には帰国して外務省欧亜局調査官となりました。彼は本省勤務中にアラビア語を学ぶ後輩たちの指導にも力を入れました。

大使としての活動

1968年6月、田村はサウジアラビア特命全権大使に任命され、ファイサル国王を日本に招待するなどの大役を果たしました。1970年にはイエメン大使を兼務しながら、1972年には退任しました。

退任以降、田村はアラビア石油に参与。1973年の石油ショックの際には、サウジアラビアを訪れ、ファイサル国王と面会し、「友好国」としての石油供給に関する前交渉を行いました。その後、日本政府の特使三木武夫がアラブ産油国を訪問し、重要な石油供給の確約を得る助けとなりました。

顕彰と著書

国家に対する貢献が認められ、1974年に勲二等瑞宝章、1985年には勲二等旭日重光章を受賞しました。また、彼は外交活動の成果を記録した著書も多く持っています。代表作には『イスラムの盟主サウジアラビア』や『アラビア語・日本語辞典』、『アラブ外交55年 友好ひとすじに』などがあります。

1988年10月2日、アメリカ合衆国サンフランシスコにて生涯を閉じました。田村秀治の業績は、今もなお日本とアラブ諸国の友好の礎となっています。

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