田根剛

田根剛（たね つよし）

田根剛は、1979年東京都生まれの建築家です。現在はフランス・パリを拠点に活動し、Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを主宰しています。彼の建築に対する独特なアプローチは、「Archaeology of the Future（未来の考古学）」という概念に集約されます。これは、場所の記憶を掘り起こし、その記憶を未来へと繋げる建築を創造しようとする試みです。

プロフィール

1979年、東京都杉並区生まれ。
北海道東海大学芸術工学部建築学科卒業。
フランス政府公認建築家。
Atelier Tsuyoshi Tane Architects代表。

幼少の頃はプロサッカー選手を目指していましたが、怪我により断念。その後、北海道東海大学で建築を学び、スウェーデンやデンマークへの留学を経て、建築家としての道を歩み始めます。ヘニング・ラーセンやデビッド・アジャイェといった著名な建築家の事務所に勤務した後、2006年に国際コンペで最優秀賞を受賞したことを機に、DGT.（Dorell.Ghotmeh.Tane / Architects）を共同設立し、パリを拠点に活動を開始しました。

「Archaeology of the Future」

田根の建築哲学の中核をなすのが「Archaeology of the Future」です。これは、単に過去の遺物を保存・再現するのではなく、場所が持つ歴史や記憶を徹底的にリサーチし、その場所固有の文脈を未来へと繋げるような建築を創造しようとするものです。彼は、建築を「場所の記憶を呼び起こし、未来を創造する装置」と捉え、その実現のために、考古学的なリサーチと考察を重視しています。

主なプロジェクト

エストニア国立博物館：国際コンペで最優秀賞を受賞したプロジェクト。エストニアの歴史と文化を反映したデザインが特徴で、完成後には国営放送で6時間にわたるライブ中継が行われるなど、大きな話題となりました。
弘前れんが倉庫美術館：明治期に建てられた煉瓦倉庫を改修した美術館。田根にとって国内初の美術館建築であり、歴史的な建造物を現代的な空間として再生させた点が評価されています。
オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ内 アル・サーニ・コレクション：コンコルド広場に面する歴史的建造物内に計画された美術館。古代文明から現代アートまで、多様なコレクションを展示する空間を、歴史的文脈と調和させながら創り上げています。
LIGHT is TIME：シチズンのインスタレーション。ミラノサローネで発表され、ミラノ・デザイン・アワードで2部門を受賞。

受賞歴

田根剛は、数々の国際的な賞を受賞しています。

フランス文化庁新進建築家賞
ミラノ建築家協会賞
フランス国外建築賞グランプリ
芸術選奨文部科学大臣新人賞
アーキテクト・オブ・ザ・イヤー
フランス芸術文化勲章シュバリエ

メディア出演

情熱大陸 (毎日放送)
SWITCHインタビュー 達人達 (NHK)

田根剛の建築は、場所の記憶を未来へと繋げる力強いメッセージを持っています。彼の作品は、私たちに建築の新たな可能性を示唆してくれるでしょう。

著書

田根 剛｜Archaeology of the Future（TOTO出版）
アーキオロジーからアーキテクチャーへ（TOTO出版）

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