田町 (高松市)

田町（たかまつし）

香川県高松市の中核をなす中心市街地に位置する町丁です。市役所から南へおよそ0.7キロメートルの距離にあり、高松中央商店街の一部である田町商店街を東西から挟むように広がる、南北に細長い区域を形成しています。郵便番号は760-0053で、現代的な住居表示に関する法律に基づく地番整理は行われていません。

町の中心を貫く田町商店街は、全長約400メートルに及ぶアーケードを備えた歩行者・自転車専用道路で、日中は多くの買い物客や通行人で行き交います。この道筋は、かつて高松城下から延びていた五街道のうち、仏生山へ向かう道と琴平へ向かう道の共通部分であり、歴史的な交通路としての重要性も持っていました。常磐橋（現在の丸亀町ドーム北側付近）から南へ進み、栗林町の手前でそれぞれの道が分かれていました。

2015年の国勢調査によると、当町の人口は360人（男性161人、女性199人）で、197世帯が暮らしています。面積は約3万8218平方メートル、人口密度は約9415.6人/平方キロメートルです。義務教育期間の公立学校の校区は、全域が新番丁小学校および紫雲中学校に指定されています。

都市計画においては、町域全体が商業地域に指定されており、建物の容積率は南北で異なります。観光通りを境に北側の街区は500%、南側の街区は400%ですが、観光通りに面した街区自体は600%となっています。

歴史的な歩み

田町の町名は、高松の城下町が形成され始めた頃、この地域がまだ中ノ村の一部であり、田圃が広がっていたことに由来すると伝えられています。寛永年間（1624年〜1644年）頃には、罪人の首が晒された記録も残されています。1640年の高松城下絵図にはまだ町の名前が見えませんが、1752年の絵図にはすでに田町として登場しています。城下町の南端にあたるこの地は、金毘羅街道や仏生山街道といった重要な街道の出発点であり、城下への出入りを管理する大手三か所のうちの一つとして番所が設けられていました。

江戸時代には商業が栄え、特に紙の流通において重要な役割を果たしました。1822年、他国産の紙の輸入が制限された際、国産紙の仲買人枠が増設され、当町の中屋佐五右衛門や吉田屋佐助が一手取扱権を与えられた記録があります。また、1897年頃には、当町には106軒もの商家や職人があり、45種もの多様な業種が集積していました。これは当時の高松市内でも特に多く、売薬商、諸紙商、穀物商、八百屋物商、小間物商、傘商といった業種の集中が顕著でした。売薬商の中には、「ハリマヤ甚右衛門」と称し、家伝の「万宝振り出し薬」で知られた平野宗三の名も見えます。平野家はもともと高松藩主松平頼重の家臣でしたが、三代目で武士を辞め、薬商として成功した一族です。

町内に鎮座する琴平神社は、大物主命を祀っており、かつては小田裏金毘羅大権現と呼ばれていましたが、その創立年代は詳らかではありません。

1890年2月15日、高松市制が施行され、田町もその一部となりました。しかし、第二次世界大戦末期の1945年7月4日未明に発生した高松空襲では、町内全域が壊滅的な被害を受け、灰燼に帰しました。戦後、高松市中心部では大規模な戦災復興土地区画整理事業が実施され、田町も第一工区一次として対象となり、街路の拡張や改良が進められました。この区画整理事業は1958年7月10日に換地処分公告が行われ、翌11日をもって町域が再編成されました。北部は亀井町や南新町に、東部は常磐町や観光通にそれぞれ編入される一方、西新通町や中新町の一部が当町に編入されています。

復興が進む中、1957年には田町商店街に近代的なアーケードが完成し、賑わいの回復に寄与しました。

現在、町内には高松北警察署田町警備派出所やスーパーホテル高松・田町、マルナカ田町店、はなまるうどん本社・田町店などの主要施設が立地しており、高松市の商業・業務機能の一端を担う地域となっています。

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