田辺義三

田辺義三の野球人生

田辺義三（たなべ よしぞう）、1937年4月12日生まれ、2018年9月12日没）は、群馬県出身の元プロ野球選手であり、主に捕手や外野手、内野手として活躍しました。

高校時代の活躍

田辺は桐生高校で、1955年に捕手として春の選抜に出場しました。その際、今泉喜一郎とのバッテリーで決勝に進出しましたが、強豪・浪華商に延長11回の末、惜しくも3-4で敗れました。この結果、田辺は準優勝に終わります。さらに同じ年の夏の選手権にも出場し、日大三高のエース並木輝男に抑えられ、ここでも敗退となりました。印象深いのは、1955年8月に全日本高校選抜として初のハワイ遠征に参加したことです。田辺は4番打者としての役割を果たしました。彼の174cmという身長は当時としては大柄で、強打の捕手として注目されました。

プロ入りとその後のキャリア

1956年には西鉄ライオンズに入団し、同じく高校時代に注目を浴びた畑隆幸との「黄金のバッテリー」との期待を集めました。しかし、プロ入り後は三原脩監督の意向で正捕手の座を久保山誠や和田博実との間で争うこととなります。キャリア初年度の1956年には26試合に先発捕手として起用され、巨人との日本シリーズにおいても出場を果たしました。この時、高卒ルーキー捕手の日本シリーズ出場は56年ぶりで、田辺以降は2012年の近藤健介まで現れなかったと言います。

田辺は当初、日比野の後継候補と見なされていましたが、三原は彼の捕球技術に不安を感じていました。2年目の1957年には和田が正捕手に抜擢され、田辺は控えに回ります。その後、1959年には外野手へと転向し、1960年には主に右翼手として33試合に出場しました。1962年には一塁手としての起用が増え、自己最多の60試合に先発出場しましたが、ここでも不運が訪れました。10月6日の試合前に打撃投手として我を忘れていた際、球が後頭部に直撃し、その影響で昏倒。以降は言語障害など後遺症に悩まされ、1963年には試合出場を果たせず、約2年の治療に専念します。

現役引退とその後

実際に一軍に復帰したのは1964年でしたが、その年限りで現役を引退しました。同年12月には球団から200万円の補償金が支払われ、当時の限度額を上回る支援が行われました。田辺は中西や豊田泰光といった選手と共に期待される存在でしたが、引退には多くの惜しむ声が寄せられました。

引退後も田辺は西鉄OBとの交流を続け、2011年にはライオンズ・クラシックのイベントに参加し、かつてのチームメイトと共にユニフォーム姿でグラウンドに姿を現しました。

田辺義三は、そのキャリアを通じて多くの人々に愛され、プロ野球界において重要な人物の一人として記憶され続けています。彼の存在は、野球界における捕手の重要性や選手育成の観点からも示唆に富んでいます。

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