田辺製薬硬式野球部

田辺製薬硬式野球部

田辺製薬硬式野球部は、かつて日本の社会人野球界において活動していた企業チームの一つです。本拠地は山口県小野田市に置かれ、日本野球連盟に所属していました。チームの運営を担っていたのは、大手製薬会社である田辺製薬株式会社（現在の田辺三菱製薬株式会社）です。このチームは1973年に創部され、1991年11月30日をもって活動を終了、解散しました。約18年間の活動期間を有していました。

チームは1973年（昭和48年）、山口県小野田市にあった田辺製薬株式会社の小野田工場内に設立されました。企業がスポーツチームを持つことは、当時の日本において、従業員の士気向上や福利厚生の充実、さらには地域社会への貢献といった側面から広く行われていました。田辺製薬硬式野球部も、このような背景のもとで産声を上げ、地域の野球愛好者や従業員を中心にチームが編成されたと考えられます。小野田工場を拠点として、日々の練習や他の社会人チームとの試合に臨みました。

創部から着実に力をつけ、チームは日本の社会人野球における主要な大会である社会人野球日本選手権大会への出場を目指しました。そして、設立から8年目にあたる1980年（昭和55年）、ついにその目標を達成します。予選を勝ち抜き、チームとして初めて社会人野球日本選手権大会本大会への出場を果たしたのです。社会人野球日本選手権大会は、その年の社会人野球の王者を決定する大会の一つであり、都市対抗野球大会と並んで非常に権威ある位置づけです。全国各地区の予選を勝ち抜いた強豪チームが一堂に会する舞台に、田辺製薬硬式野球部も加わることができたのは、チームの歴史における大きな功績でした。残念ながら、この大会では1回戦で敗退という結果に終わりましたが、全国の舞台で戦った経験はチームにとって貴重な財産となったでしょう。

その後もチームは山口県の社会人野球の一員として活動を続けましたが、1991年（平成3年）11月30日をもって、その活動に終止符が打たれることとなりました。この日をもってチームは解散し、およそ18年間の歴史に幕を下ろしました。解散の背景にある具体的な事情は明らかではありませんが、多くの企業スポーツチームと同様に、経営状況の変化など、様々な要因が考えられます。

田辺製薬硬式野球部が活動していた期間は、山口県小野田市における社会人野球の歴史の一部分を形成しています。山口県勢としては、都市対抗野球大会など全国の舞台を目指すチームが他にも活動しており、田辺製薬もその中で切磋琢磨していました。チームの解散後も、運営母体であった田辺製薬株式会社は、他社との合併を経て田辺三菱製薬株式会社として存続しています。また、野球部とは別に、田辺製薬を母体とする他のスポーツチーム（サッカー部など）も存在し、その活動は現在まで続いているケースもありますが、これらは硬式野球部とは直接の継続性を持つものではありません。

田辺製薬硬式野球部というチームの存在は、短い活動期間ではありましたが、山口県における企業スポーツ、そして社会人野球の歴史の中で、確かにその足跡を残しました。全国大会出場の栄光は、今もなお語り継がれるべき功績と言えるでしょう。

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