田野大輔

田野 大輔 (たの だいすけ)

田野大輔は1970年に東京都に生まれ、社会学者として知られています。現在、甲南大学文学部の教授として歴史社会学、特にドイツ現代史やナチズムの研究を行っています。彼の研究は、ナチス・ドイツにおけるマスコミュニケーションのメカニズムや宣伝、娯楽、そしてセクシュアリティに焦点を合わせています。また、日独文化交流における余暇や厚生の側面についても探求しています。

学歴とキャリア

田野は海城高等学校を経て、京都大学文学部を卒業。その後、ミュンヘン大学に留学し、ドイツでの社会学を学びました。1998年には京都大学大学院に進学し、後に博士（文学）の学位を取得しました。彼は大阪経済大学で准教授を務めた後、2012年から甲南大学で教授職に就いています。

ファシズム体験授業

田野は甲南大学で、学生に「権力がもたらす許可」について考えさせるファシズム体験学習を導入しています。この授業では、学生たちが同じ服装を用いてナチス式敬礼を体験し、「正義の側に立つ」という意識のもとで「悪者」を攻撃する演習が行われます。このプログラムの目的は、集団心理がもたらす危険性を認識させることです。田野は、現在の世界に広がる排外主義の動きにも、このような集団のメカニズムが働いていると指摘しています。

主な著作

田野の著作には、特に『魅惑する帝国』や『愛と欲望のナチズム』、また『ファシズムの教室』などがあります。2023年には小野寺拓也との共著で『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか？』を発刊し、これは瞬く間にベストセラーとなりました。この本では、ナチスが行ったとされる「良いこと」とは、本当は単なる結果であること、さらには多くの人々が受けた排除の危険性を警告しています。

田野は「ナチスの政策を肯定できる要素は存在しない」とし、歴史的解釈の重要性を強調しています。彼は、ナチスが与えた被害を軽視するような意見に対峙することで、一般と専門的な知識のギャップを埋める必要を痛感していると述べています。彼の取り組みは、ナチスへの承認や誤解を防ぐための教育的な意義が大きいと評価されています。

私生活と趣味

田野は、自宅や研究室に書棚を自作することにも情熱を注いでおり、そのマニュアルを公開しています。餃子作りが得意で、ゼミ生と共に模擬店で販売にも挑戦しています。このような趣味もまた、彼の人間性や学びのスタイルに関わっていると言えるでしょう。

メディア出演と影響

彼はテレビやラジオにも出演しており、歴史を深く掘り下げるための番組に関与しています。こうしたメディア活動を通じて、一般市民にも歴史的知見を広めることに努めています。これにより、歴史やナチズムについての理解を広める役割を果たしています。

彼の研究と教育への取り組みは、特に歴史の正確な理解が必要とされる今日の社会において、大いに意義があると言えるでしょう。

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