田面沢駅

田面沢駅について

田面沢駅（たのもざわえき）は、埼玉県川越市の小ヶ谷周辺に位置していた東上鉄道の駅ですが、現在は廃駅となっています。1914年に開業したこの駅は、当初から約2年半の短い間、同鉄道の実質的な終端駅として機能していました。しかし、実際には本線ではなく支線の一つとして存在していました。

概要と位置

田面沢駅は、5万分の1の地形図「川越」にその所在が記載されており、入間川の東岸にありました。周辺は田んぼが広がる静かな地域です。駅に関する具体的な情報は限られており、その存在期間が非常に短かったため、構造や配線に関する詳細は不明なままです。ただ一つ、田面沢駅が客貨両用駅であったことは確認されており、貨物ホームに屋根が設けられていたことがわかっています。近年では、駅の跡地やその周辺の地形が研究の対象となり、2014年にはその位置の推定が試みられました。

沿革

田面沢駅の開業当初の目的は、主に入間川からの砂利の運搬と田面沢村の農作物の輸送、地元住民の交通手段の確保でした。東上鉄道は川越町駅（現在の川越市駅）から田面沢村へ向かう軽便鉄道を1914年4月に免許取得し、その後の5月に開業しました。ただし、この駅への直通列車は存在せず、川越町駅との間を結ぶ形での往復運転が行われていました。このため、旅客の輸送は主として副次的なものであり、貨物が主な目的でした。

本線化計画

東上鉄道は1914年7月17日に、田面沢駅を経由した路線の延伸計画を申請しました。運輸状況が非常に少なく、多くても日々の利用者数は40人に満たない状態であったことから、1916年には旅客営業の廃止を決定しました。この決定は投資対効果や輸送上の効率を考慮した結果でした。旅客営業が廃止された翌日、田面沢駅に関しては仮駅化という形で路線の一部が本線の延伸に転用されました。

廃駅

田面沢駅は1916年3月1日をもって旅客営業を終了しました。その後、同年10月には当駅をつなぐ分岐器が撤去され、正式に駅としての機能が完全に失われました。11月2日、官報において川越町と田面沢駅間の廃止が報告され、歴史の中から姿を消しました。

結論

田面沢駅は、その短い運営期間の中で、地元に貢献する一方、鉄道における少数派としての位置づけが強かったことがわかります。現在でもその存在は多くの謎に包まれていますが、一定の歴史的価値を持つ場所であったことは間違いありません。鉄道ファンや歴史愛好家にとって、田面沢駅の遺産は調査や研究の対象となり続けることでしょう。

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