由利本荘市立亀田小学校

秋田県由利本荘市岩城町にその歴史を刻んだ由利本荘市立亀田小学校は、明治維新間もない1873年（明治6年）11月、地域の子どもたちの学び舎として産声を上げました。以来、140年余りにわたり、この地で多くの児童を育んできました。

学校の歩みは順風満帆ばかりではなく、創立から間もない1882年（明治15年）5月には校舎が全焼するという不幸に見舞われました。しかし、地域社会の強い結びつきに支えられ、同年7月には松ヶ崎小学校を分校として併合するなど、教育体制の再構築と拡大を進めました。一方で、明治中期には下黒川、泉田、上蛇田の各分校が廃止されるなど、時代の変化や地域の状況に合わせて学校の姿は変化していきます。

施設の面でも、教育内容の充実に合わせた整備が続けられました。大正期にあたる1923年（大正12年）6月には本館や体育館が増築され、戦後間もない1956年（昭和31年）8月には音楽室や図書室を備えた新校舎が建設されるなど、学習環境の近代化が進められました。特に1960年（昭和35年）3月には給食室が増設され、学校給食が開始されたことは、児童の健やかな成長を支える上で画期的な出来事でした。さらに1967年（昭和42年）9月には新たな校舎が竣工するなど、施設面での基盤強化が図られました。

学校は、教育活動や課外活動においても多岐にわたる成果を上げています。1955年（昭和30年）2月には校歌が制定され、学校の一体感を育む象徴となりました。スポーツ分野では、1969年（昭和44年）に全郡市剣道大会で優勝を飾るなど、児童たちの活躍が光りました。また、1976年（昭和51年）には学校保健推進校に指定されるなど、児童の心身の健康増進にも配慮が行き届いていました。文化・学術的な活動でも顕著な実績を残しており、子ども郵便局活動での郵政大臣賞（1984年11月）、創意工夫育成活動での科学技術庁長官賞（1988年4月）、游玄会書道展での団体優秀賞（1998年）といった受賞歴は、児童たちの豊かな才能と探求心が育まれていたことを示しています。

時代の変化に対応した教育内容の更新も積極的に行われました。情報化社会の到来を見据え、1996年（平成8年）9月にはコンピュータ22台が導入され、情報教育が始まりました。1997年（平成9年）12月には体育館が新設され、体育活動や学校行事の環境が向上しました。1999年（平成11年）12月にはインターネット環境が整備され、学習の幅がさらに広がりました。また、国際化に対応するため、2000年（平成12年）4月からは英語学習が開始されました。2005年（平成17年）3月22日には、市町村合併により由利本荘市が誕生したことに伴い、由利本荘市立亀田小学校へと校名が変更されました。2007年度から2009年度にかけては、NIE（教育に新聞を）の協力推進校として、新聞を活用した実践的な教育活動にも取り組みました。

閉校が近づく時期においても、亀田小学校の児童たちは様々な分野で活躍を続けました。2010年（平成22年）には県小学校陸上競技大会男子100メートルで2年連続入賞を果たし、同年に国立天文台の教授を招いた天体学習を実施するなど、特色ある学習活動も展開されました。2011年（平成23年）には市授業実践研究会の公開校となり、教育内容の質的向上に努めるとともに、陸上競技の男子80メートルハードルで1位を獲得しました。2012年（平成24年）には、秋田県スポーツ少年団種目別スキー交流会において、4年生男子大回転で優勝するなど、冬季スポーツでも輝かしい成績を残しています。

地域に根ざし、長年にわたり教育の場を提供してきた亀田小学校ですが、地域の学校再編計画に伴い、閉校が決定しました。2014年（平成26年）2月15日には、これまでの学校の歴史を振り返り、別れを惜しむ閉校記念式典が執り行われました。そして、同年3月31日をもって、由利本荘市立道川小学校、由利本荘市立松ヶ崎小学校とともに由利本荘市立岩城小学校へと統合される形で、その長い歴史に静かに幕を下ろしました。多くの人々の心には、亀田小学校で過ごした日々や、地域と共に築き上げた歴史の記憶が今もなお鮮やかに息づいています。

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