由木村

由木村について

由木村（ゆぎむら）は、かつて東京都南多摩郡に存在した村で、現在は八王子市の一部としてその名を残しています。由木村は、南多摩郡の合併や再編の経緯を経て、1964年に八王子市に編入されました。本稿では、由木村の歴史、地理、産業などについて詳しく見ていきます。

地理と由来

由木村の地名は、古文献において「柚木」や「由儀」とも表記され、語源については多様な説があります。一つには、紙の原料である楮が多く自生する地であったことから「由ノ木」と呼ばれ、そこから転じて「由木」になったという説があります。他には、柚子の多さに由来する説もあり、小学校の校章には柚子が描かれています。

現在、由木村に相当する地域は八王子市内のいくつかの町名に分かれています。具体的には、鑓水、中山、上柚木、下柚木、越野、堀之内、南陽台などがあります。

自然環境

由木村には、213.4メートルの大塚山があり、これは村内の最高地点です。また、多摩丘陵に囲まれたこの地域には、河川や池も豊富に存在します。多摩川の支流である大栗川や、大田川、別所川などが流れ、そこから湧き出る水は農業にとって貴重な資源となっています。特に、長池や築池などの池は、地域の伝承にまつわる場所としても知られています。

歴史的な背景

由木村は江戸時代初期にその名が見られ、複数の小村が集まり、1889年に町村制施行に伴って正式な村として成立しました。村役場は初め永林寺内に設置され、後に専用庁舎が建設されました。近代に入ると、村は次第に近代化が進み、バス路線や電話サービスが開通するなど、住民の便利さが向上していきました。

産業の特徴

由木村の主な産業は、農業であり、特に酪農と養蚕が盛んでした。井草甫三郎の指導で始まった酪農は村内全域に広がり、全国的にも知られる産業として発展しました。また、農閑期には目籠作りが行われ、これも村の重要な産業でした。

教育と公共機関

合併時点では、由木村にはいくつかの小学校と中学校が存在し、教育機関は地域住民にとって重要な役割を果たしていました。また、郵便局や駐在所といった公共機関も設置され、地域の生活基盤を支えていました。

合併とその後

1964年、八王子市への合併が決定されるまで、由木村は分村派と合併派の対立に直面しました。住民投票の結果、八王子市との合併が選ばれ、これにより由木村はその歴史に幕を下ろしました。合併後も由木への愛着は続き、地域のコミュニティが形成されています。

まとめ

由木村は、その豊かな自然と歴史的な背景を持つ地域であり、農業と伝承が息づく場所です。八王子市と合併した現在も、地域名や文化は形を変えながらも残されています。

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