甲子園競輪場

甲子園競輪場の歴史と概要

甲子園競輪場（こうしえんけいりんじょう）は、兵庫県西宮市南甲子園にこの地にかつて存在した競輪施設です。競輪専用に造られた施設でありましたが、短期間にわたりオートレースが開催された時期もありました。ここでは競輪場の特徴や歴史について詳しく見ていきます。

概要

1949年に開設された甲子園競輪場は、兵庫県の競輪界における重要な拠点として位置づけられており、最初は「鳴尾競輪場」として開かれました。日本競輪株式会社（甲子園土地企業株式会社の前身）が数千万円をかけて建設しましたが、1951年1月から甲子園競輪場という名称に変更され長い歴史を刻みました。

競輪場は、兵庫県市町競輪事務組合が施行者として管理し、地元選手たちのホームバンクとして利用されました。多くの選手が本場を拠点に活動し、競技が進められたのです。しかし、2002年3月に赤字が続いたことから競輪が廃止され、甲子園土地企業は解散に至りました。

施設と運営

甲子園競輪場の設計は初期の段階では500mのバンク、8車立てでスタートしましたが、1956年にスタンドが鉄筋コンクリート造へと改装され、その後1964年には周長400mのバンクへ改修されました。最終的なバンクのカントは28°-00′-33″に達しました。

競輪場は開設当初から地域でのイベント開催日には、甲子園球場と連携して駐車場として利用されることもありました。入場料は50円と手頃で、多くの観客に訪問されました。冬季にはカイロや粗品配布など独自のサービスも行われていました。

競技と特徴

甲子園競輪場では特別観覧席が設けられ、入場料は種類によって異なる設定がされていました。また、オッズの表示や投票方法には課題があり、近年は情報の提供が形を変えたこともありました。投票の方法は基本的にはお釣りが出ない仕組みとなっており、支払い計算が必要でした。

レースの実況は、1990年代に入ると中川建治によって行われることが多く、観客に親しまれていました。また、競輪場内では情報提供のための専門紙も販売されていました。

歴史の分岐点

1950年9月には「鳴尾事件」と呼ばれる騒動が発生し、競輪の印象に影を落としました。その後も開設記念競輪の開催が長らく行われず、周辺住民との摩擦も生じた時期もありました。しかし、1985年には開設記念競輪が初めて開催され、徐々に特別競輪への道を開くこととなります。

1999年には特別競輪である「第42回オールスター競輪」が開催され、スタッフと選手、観客が共にその成功に期待を寄せていましたが、競輪全体の収入は厳しく、2002年には業務終了の決定が下されるに至ります。

競輪場の閉鎖とその後

競輪場は2002年3月に廃止が決定され、地元選手たちが最終レースを終えファンに別れを告げる場面が印象的でした。その後、建物はしばらく存続しましたが、最終的には解体され、現在では分譲マンションが建設されています。

結論

甲子園競輪場は、日本の競輪の枠組みの中で重要な位置を占めていましたが、良い時代と悪い時代の波を経ながらも、地域の人々との関係性や競技の魅力を持ち続けていました。競輪場の閉鎖は地域にとっての一つの転機であり、その影響は今も続いているのです。古き良き時代の記憶は、今でも多くの人々に語り継がれています。

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