甲府西武

甲府西武（こうふせいぶ）について

甲府西武は、山梨県甲府市にかつて存在した百貨店で、その歴史は中込百貨店に遡ります。この百貨店は、地域の商業に大きな影響を与え、数十年にわたり市民に親しまれてきました。

中込百貨店の始まり

中込百貨店は、創業者中込良によって甲府市の橘町でスタートしました。最初は呉服店として運営され、その後1948年に株式会社中込百貨店に改組されて本格的な百貨店営業を開始しました。1951年には新たに木造の店舗が建設され、商業活動を活発化させます。

当時、既に岡島百貨店や甲府松菱といった競合店舗も存在しており、中込百貨店は１２のスーパーマーケット「なかごみ」を運営するなど、様々な事業展開を図りました。しかし、急激な競争と無理な経営が影響し、次第に資金繰りが悪化しました。

アーバンなかごみと再生への道

1973年、中込百貨店は全店舗を一新し、総工費25億円をかけて「アーバンなかごみ」という新店舗をオープンしました。西武流通グループとの提携を経て、新たに設立された株式会社中込西友と共に営業を継続しましたが、1975年の第1次オイルショックにより経営が悪化し、破綻を余儀なくされました。

この後、中込百貨店は段階的に事業を縮小し、最終的には株式会社なかごみに社名変更し存続します。

甲府西武の誕生

アーバンなかごみの跡地には中込西友甲府店が開業し、1979年には西友甲府西武店として新たにスタートを切りました。この店舗は、当時の山梨県で最大規模となり、無印良品などの多様な店舗が入店し、地域の活性化に寄与します。甲府西武の開店は他の競合にも刺激を与え、周囲の商業施設の改築や増床計画にも影響を及ぼしました。

バブル経済とその後

バブル経済の波で売上は好調でしたが、その後の不景気によって、特に郊外のショッピングセンターの影響を受けることとなります。甲府西武はリヴィンへの業態転換を模索するも、駅近の立地の利点を活かせず、最終的には1998年に閉店となり、長い歴史に終止符を打ちました。閉店は中心市街地の空洞化を加速化させ、地域経済に一層の打撃を与えました。

甲府西武閉店後の経過

甲府西武の後は、山梨県が土地を取得し、新庁舎建設の計画が持ち上がります。しかし、経済圏の変化に伴い、県庁舎の集約化が進められ、最終的には2009年にこの施設は閉鎖され、解体されました。現在、この跡地には新たな県庁が建設されています。

甲府西武がもたらした影響は今もなお残っており、かつての栄華を思い起こさせる象徴的な存在として、多くの市民に記憶されています。

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