甲東園

甲東園（こうとうえん）

甲東園は兵庫県西宮市に位置する地名であり、甲東園1丁目から2丁目、上甲東園1丁目から5丁目で構成されています。この地域は西宮市の北東部にあり、西宮七園と呼ばれる高級住宅街の一つとして知られています。さらには、関西学院大学があることから洗練された雰囲気も感じられます。

沿革

甲東園という地名の始まりは1889年にさかのぼります。当時、武庫郡のいくつかの村が合併し、武庫郡甲東村が誕生しました。地名の「甲東」は、甲山の東側に位置していることに由来しています。1894年には大阪殖林合資会社が甲東村神呪に果樹園を設立し、1900年にその果樹園を「甲東園」と名付けましたが、実際にはこの果樹園は採算が悪く、地主である芝川家の別荘としての役割が大きかったのです。

1921年、阪急西宝線が開業するとき、甲東園には駅がありませんでしたが、翌年に芝川家が無償で土地を提供し、結果的に甲東園駅が開設されることになりました。この駅の開設は地域開発の契機となり、その後、関西学院大学がこの地域に移転してくるなど、新たな発展が始まりました。

戦後の1951年から宅地開発が本格化し、住宅街が形成されていきます。また、1958年に関西学院大学周辺の上ヶ原地区が日本で2番目の「文教地区指定」を受けた影響も大きく、市立甲東小学校と市立甲陵中学校は西宮市内でも特に人気の高い学区として名を馳せるようになりました。その後、西宮市は1963年に「文教住宅都市宣言」を行い、ますます教育環境が整備されていくことになります。

芝川家

甲東園地域の開発において重要な役割を果たしたのが芝川家です。芝川又右衛門は、先代新助が大阪で成功を収めた呉服商「大阪百足屋」を営んでいた豪商です。明治17年には西宮甲東園の土地を取得し、不動産業を開始。明治29年には二代目又右衛門が大阪殖林合資会社を設立し、「甲東園」という果樹園を開発しました。

また、芝川家は1911年に別荘を建設し、地域有力者との交流の場としました。阪急に駅を作るよう依頼し、設置費用と土地1万坪を提供したことが甲東園地域の発展の礎となったのです。芝川家の別荘は後に博物館明治村に移築され、保存されていることでも知られています。

交通

甲東園は交通の便も良好で、阪急今津線の甲東園駅が利用されています。また、阪急バスも地域内を運行しており、便利なアクセスを提供しています。

まとめ

甲東園はその歴史とともに、教育環境にも恵まれた地域です。多くの著名人もこの地に由縁があり、新田長夫や新田長三といった実業家がその一例です。それぞれがこの地域に根付いており、甲東園は今もその魅力を保ちながら発展を続けています。

もう一度検索