甲源一刀流

甲源一刀流の概要

甲源一刀流（こうげんいっとうりゅう）は、逸見太四郎義年（義利とも記載される）が創設した武道の流派です。彼は溝口派一刀流剣術を学び、その技術をもとに自らの流派を確立しました。名称の由来は、逸見氏が甲斐源氏を祖とすることに由来しています。この流派は、後の時代に多くの門弟に受け継がれ、現在も埼玉県で指導が続けられています。

甲源一刀流の歴史

逸見氏の家系伝承

甲源一刀流の起源は、逸見氏にさかのぼります。逸見氏は甲斐国の武田氏と縁があり、その一族は代々甲斐国に暮らしていました。しかし、16代目の逸見若狭守義綱が武田信虎と対立し、16世紀の大永年間に武蔵国の小鹿野村へ移り住んだとされています。

流派の創始と発展

逸見家の25代目である逸見太四郎源義年は、江戸時代後期に桜井五亮長政から溝口派一刀流を学びました。彼はその技術を磨いた結果、独自の流派「甲源一刀流」を確立し、故郷に「燿武館」という道場を建設しました。この道場では、甲源一刀流の剣術が後世にわたって教授されてきました。現在でも燿武館は埼玉県の史跡に指定されています。

比留間家の貢献

逸見義年の弟子、比留間与八は甲源一刀流の名手として名が知られ、幕末の三剣士の一人ともいわれています。彼の家族は代が続くごとに達人を輩出し、比留間家の道場は多くの門弟を育て上げることで流派を広めました。特に、比留間半造は八王子千人同心に剣術を教え、徳川家慶の前でも剣技を披露したことで名声を得ました。

達人たちのエピソード

比留間半造の子、比留間良八もまた甲源一刀流の使い手で、1863年に一橋徳川家に仕官しました。彼は上下関係をしっかりと保ちながらも、剣術に邁進しました。また、逸見家の第5代目の逸見長英は、神道無念流との試合で見事に勝利したことが知られています。これにより、甲源一刀流の名声は一層高まったと言われています。

燿武館での修行

燿武館での修行は、主に農民で構成された門人たちによって行われ、早朝からの稽古が日常生活の一部でした。彼らは朝稽古を経て農作業に取り組んでいたため、剣術は彼らの生活に深く根付いていました。

甲源一刀流剣道形

甲源一刀流の剣道形には、長剣や小太刀に関する様々な技が存在しており、特に「五天」「残心組」「刃切合組」など、流派特有の表現によって多様な技術が構成されています。また、薙刀の技術も伝承されおり、他の流派に影響を与える存在としても認識されています。

系譜

甲源一刀流は、代々逸見家によって受け継がれてきました。

• - 開祖: 逸見太四郎義年
• - 二世: 逸見彦九郎義苗
• - 三世: 逸見兵馬義豊
• - 四世: 逸見右輔義隆
• - 五世: 逸見太四郎長英
• - 六世: 逸見愛作英敦
• - 七世: 逸見武市義純
• - 八世: 逸見太四郎実道
• - 九世: 逸見知夫治
• - 十世: 逸見義清（現宗家）

甲源一刀流は長い歴史を持ち、その技術が多くの門弟によって伝えられてきました。これからもその伝統は、次世代へと引き継がれていくことでしょう。

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